○高槻市男女共同参画推進条例
平成17年12月20日
条例第57号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第11条)
第2章 市の施策の基本的事項(第12条―第19条)
第3章 男女共同参画審議会(第20条)
第4章 雑則(第21条)
附則
すべての人が個人として尊重され、性別によって社会的な役割が決定されるのではなく、自分の意思で生き方を選択し、個性と能力を発揮することができる社会の実現が今強く求められています。
第二次世界大戦後、日本国憲法、世界人権宣言、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約等においてうたわれている男女の「個人としての人格の尊重」、「法的・社会的平等」、「固定的な役割分担の解消」といった理念に基づき、また、「平等・開発・平和」をテーマとした国際社会の動向とも連動しながら男女平等社会の実現に向けた様々な取組が展開されてきました。
その成果として、男女平等に関する理解も深まり、社会の制度も整備されるなど着実な進展が見られるところです。
しかし、性別による固定的な役割分担の意識や慣習などの様々な要因によって、個人としての自由な活動の選択が妨げられているという実態がなお残存しています。
また、今日の経済情勢や少子高齢といった社会状況の変化に対応していくためにも、実質的な男女平等に向けた一層の努力により、国際的な人権の視点と価値観に準拠した多様で活力ある社会の実現が緊急かつ重要な課題となっており、その推進を図るために男女共同参画社会基本法が制定されました。
そこで、基本法の趣旨にのっとり、高槻市における男女共同参画社会の形成を推進するため、市、市民、事業者そして各種の団体が一体となって、積極的に取り組み、市民一人一人が自立した個人として生き生きと暮らすことができるようこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、市並びに市民、事業者及び各種の団体(以下「市民等」という。)の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会 男女が、社会の対等な構成員として、互いにその人権を尊重し、責任を分かち合い、自らの意思によって職場、学校、地域、家庭等のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、その個性と能力を発揮することにより、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を享受できる社会をいう。
(2) 積極的格差是正措置 前号に規定する参画の機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動によってその者に苦痛若しくは不快感を与え、又は性的な言動を受けた者の対応によってその者に利益若しくは不利益を与えることをいう。
(4) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)又は配偶者であった男女の間において、身体的、精神的、経済的、性的又は社会的な危害又は苦痛を与えることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる基本理念に基づいて行われなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、性別による直接・間接の差別的な取扱いを受けないこと、個人としての能力を発揮する機会が確保されること、男女が互いに身体的特徴についての理解を深め、健康の保持に配慮するとともに、妊娠や出産に関し女性の意思と男性の意思が同等に尊重されること及び性別に起因するあらゆる権利の侵害が行われないこと。
(2) 社会における制度又は慣行によって、男女共同参画社会の形成を阻害するおそれのある性別による固定的な役割分担を生じさせ、又は踏襲させないこと。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における施策又は事業所若しくは各種の団体における方針の立案及び決定過程に共同して参画できるよう積極的格差是正措置等の必要な措置を講ずること。
(4) 家族を構成する男女が、性別による固定的な役割分担意識にとらわれず、相互の協力と社会の支援を得て、家族の一員として、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における役割を果たし、かつ、職場、地域等での活動を行うことができるよう制度及び環境の整備を図ること。
(5) 男女共同参画社会の形成に関する取組は国際的な理念及び情勢と深く関連していることから、その動向に留意すること。
(セクシュアル・ハラスメント等の禁止)
第4条 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
2 何人も、ドメスティック・バイオレンス等の個人の尊厳を侵す暴力的な言動を行ってはならない。
(市の責務)
第6条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を策定し、及び実施するとともに、必要な推進体制を整備しなければならない。
(市民の責務)
第7条 市民は、男女共同参画に関し理解を深め、職場、学校、地域、家庭等のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、男女が職業生活並びに家庭生活及び地域社会での生活を両立できるよう職場環境を整備すること、事業所の方針の立案及び決定過程への男女の対等な参画機会を確保することその他性別による差別的な取扱いを行わないこと等により、事業所における男女共同参画を積極的に推進するよう努めなければならない。
(各種の団体の責務)
第9条 市内で活動する各種の団体は、その活動において、男女共同参画を積極的に推進するよう努めなければならない。
(教育に関わる者の責務)
第10条 学校教育、社会教育その他の教育に関わる者は、男女共同参画社会の形成における教育の果たす役割の重要性に留意するものとする。
(市民等の協働)
第11条 市及び市民等は、協働して、男女共同参画社会の形成に取り組むものとする。
第2章 市の施策の基本的事項
(施策を策定等する場合の基本方針)
第12条 市は、基本理念にのっとり、市の施策を策定し、又は実施しなければならない。
(男女共同参画計画の策定等)
第13条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策(以下「男女共同参画施策」という。)を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画計画を策定するものとする。
2 市は、男女共同参画施策の実施に関しその予定及び状況を公表するものとする。
(男女共同参画に関する教育の推進)
第14条 市は、学校教育、社会教育等において、男女共同参画の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(男女共同参画の理解を深めるための措置)
第15条 市は、広報及び広聴を通じて、市民等の男女共同参画についての理解を深めるものとする。
2 市は、事業者に対し男女共同参画に関する取組状況について報告を求め、必要な助言を行うことにより、事業者の理解を深めるものとする。
(市民等に対する支援)
第16条 市は、市民等の男女共同参画を推進する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(調査研究)
第17条 市は、男女共同参画施策の推進に必要な調査研究を行い、その結果を公表するものとする。
(苦情等の申出)
第18条 市民等は、男女共同参画施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について、苦情又は意見があるときは、その旨を市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、苦情処理委員の意見を聴き、迅速かつ適切に処理するものとする。
(相談の申出)
第19条 市民は、性別による差別的取扱いその他男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害を受けたとき又はそのおそれがあるときは、その旨を市長に相談することができる。
2 市長は、前項の規定による相談を受けたときは、国等の関係機関と連携し、迅速かつ適切に処理するものとする。
第3章 男女共同参画審議会
(男女共同参画審議会の設置)
第20条 市に、高槻市男女共同参画審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 男女共同参画社会の形成に関する基本的な方針、重要な施策及び事項に関すること。
(2) 男女共同参画計画の実施状況に関すること。
3 審議会は、委員15人以内で組織し、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が任命する。
(1) 市議会の議員
(2) 学識経験のある者
(3) 関係団体から推薦を受けた者
(4) 市民
5 委員の任期は2年とし、再任されることを妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。
第4章 雑則
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。
2 附属機関に関する条例(高槻市条例第262号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
3 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(高槻市条例第328号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略