○高槻市太陽光発電施設の適正な設置のための手続等に関する条例
令和6年3月26日
条例第8号
(目的)
第1条 この条例は、太陽光発電施設の適切な設置のために必要な手続等を定めることにより、自然環境、生活環境及び景観の保全並びに災害の未然防止を図り、もって市民生活の安全と安心を確保することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本市の自然環境、生活環境及び景観は、市民の長年にわたる努力によって形成されてきたことに鑑み、かけがえのない財産として将来にわたって市民がその恵沢を享受することができるよう、地域の意向を踏まえて、その保全が図られなければならない。
(1) 太陽光発電施設 太陽光を電気に変換する設備及びその附属設備をいう。
(2) 太陽光発電事業 太陽光発電施設の設置(竹木の伐採、盛土、切土、埋立て等の造成工事を含む。以下同じ。)又は運営をする事業をいう。
(3) 事業者 太陽光発電事業を計画し、又は実施する者をいう。
(4) 事業区域 太陽光発電事業の用に供する土地の区域をいう。なお、近接して行われる2以上の事業区域は、特に市長が認めるものを除き、1の事業区域とみなす。
(5) 土地所有者等 事業区域に係る土地の所有者、占有者又は管理者をいう。
(6) 近隣関係者 太陽光発電事業の実施により影響を受けると認められる者として規則で定める者をいう。
2 事業者は、太陽光発電事業の実施に係る苦情又は紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に当たらなければならない。
3 事業者は、太陽光発電事業の実施に際して事故や災害等が発生したときは、速やかにこれを解決するとともに、再発防止のための措置を速やかに講じなければならない。
(保全区域)
第8条 市長は、次に掲げる区域であって特に必要があると認めるものを、太陽光発電事業の実施に際して特に配慮が必要な区域(以下「保全区域」という。)として指定することができる。
(1) 良好な自然環境を保全する必要があると認められる区域
(2) 生活環境を保全する必要があると認められる区域
(3) 地域を象徴する景観を保全する必要があると認められる区域
(4) 災害の未然防止を図る上で必要があると認められる区域
2 市長は、必要があると認めるときは、保全区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
(1) 事業区域の面積が10,000平方メートル以上であるもの
(2) 事業区域の面積が500平方メートル以上であって、保全区域を全部又は一部に含むもの
(施設設置基準)
第10条 市長は、この条例の目的を達成するため、特定太陽光発電事業の実施に際しての基準(以下「施設設置基準」という。)として、次に掲げる事項を規則で定めるものとする。
(1) 自然環境の保全に関する事項
(2) 生活環境の保全に関する事項
(3) 景観の調和に関する事項
(4) 災害の未然防止に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
(事前協議)
第11条 特定太陽光発電事業を実施しようとする者(以下「特定事業者」という。)は、特定太陽光発電事業の実施に関する計画(以下「事業計画」という。)について、規則で定めるところにより、第13条第1項の規定による届出を行う前に市長と協議しなければならない。
2 市長は、事業区域に保全区域が含まれる場合、施設設置基準を満たさない場合、近隣関係者への説明及び調整が不十分と判断した場合その他事業の適正な実施が困難と認める場合には、特定事業者に対して特定太陽光発電事業を実施しないように求めることができる。
3 市長は、第1項の規定による協議が合意に達したときは、特定事業者に対して通知書(以下「事前協議完了通知書」という。)を交付するものとする。
(近隣関係者への説明)
第12条 特定事業者は、前条第1項の規定による協議を開始した後、近隣関係者に対し、説明会の開催及びその他の方法を用いて、事業計画に関する周知に係る措置を講じなければならない。
2 特定事業者は、事業計画に対する意見の申出の受付に関する事項を定めるとともに、これを近隣関係者に周知しなければならない。
3 近隣関係者は、説明会の開催から30日以内に、特定事業者に対して事業計画についての意見を書面により申し出ることができる。
4 特定事業者は、前項の規定による意見の申出があったときは、14日以内に、当該意見を申し出た者に対して見解を記載した書面を交付の上、その者と誠意をもって協議しなければならない。
5 特定事業者は、特定太陽光発電事業に関し自然環境、生活環境及び景観の保全並びに災害の未然防止に係る事項について、規則で定める特定近隣関係者と協定を締結しなければならない。ただし、当該協定を締結できないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
6 特定事業者は、前各項に規定する措置が完了したときは、規則で定めるところにより、その経過及び結果を速やかに市長に報告しなければならない。
(事業計画の届出)
第13条 特定事業者は、特定太陽光発電事業に着手する日の60日前までに、事業計画について、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出の内容が適正であると認めたときは、届出者に対して受理書(以下「届出受理書」という。)を交付するものとする。
(工事の届出)
第14条 届出受理書の交付を受けた特定事業者は、当該届出に係る太陽光発電施設の設置の工事に着手しようとするとき及び工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
2 市長は、設置工事が事業計画に適合していないと認めるときは、前項の規定による届出を行った者に対し、期限を定めて、必要な措置を講ずるよう指導することができる。
4 届出受理書の交付から2年以内に着手届が提出されない場合又は着手届から3年以内に工事完了届がなされない場合は、その特定事業者は、届出受理書の交付を受けていないものとみなす。
5 着手届出者は、事業計画の内容を変更しようとするときは、速やかに工事を中止しなければならない。
(事業計画の変更)
第15条 特定事業者は、事前協議完了通知書の交付を受けた後に、事業計画を変更しようとするときは、改めて第11条第1項の規定による協議を行わなければならない。
2 特定事業者は、事業計画の変更の内容が軽微であるとして規則で定める場合に該当するときは、前項の規定にかかわらず、当該変更の日から30日以内に市長に届け出なければならない。
(事業計画の取りやめの届出)
第16条 特定事業者は、事業計画を取りやめようとするときは、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(報告の徴収)
第17条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して報告又は資料の提出を求めることができる。
(立入調査等)
第18条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、職員に事業者の事務所、事業所及び事業区域に立ち入り、必要な調査をさせ、又は関係者に質問させることができる。この場合において、市長は、必要に応じて事業者に立会いを求めることができる。
2 前項の規定による立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(指導及び助言)
第19条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対して必要な措置を講ずるよう指導又は助言を行うことができる。
(勧告)
第20条 市長は、事業者が指導又は助言に従わない場合は、期限を定めて、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公表)
第21条 市長は、前条の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表するとともに、国に報告することができる。
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
1 この条例は、令和6年7月1日から施行する。