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令和6年11月29日(金曜日)午後3時00分、第4回高槻市学校教育審議会を開催した。
出席委員
一柳 康人 委員
城下 英行 委員
津田 和美 委員
蛭田 勲 委員
鎌田ひとみ 委員
宮本 剛 委員
山本 新一 委員
高木 祐樹 委員
安盛 啓史 委員
田中 健文 委員
八尾 洋美 委員
山田めぐみ 委員
入江 隆男 委員
出席した事務局職員の職、氏名
教育次長 青野 淳
教育次長代理 前迫 宏司
教育総務課長 橋長 忠司
学校安全課長 田口 裕之
保健給食課長 松岡 広樹
教職員課長 武藤 亮
教育センター所長 山本由紀子
みらい創生室主幹 阿部 倫子
保育幼稚園総務課長 立田 晋平
教育政策課課長代理 小澤 祐樹
教育政策課指導主事 村山 健
教育政策課 土井 直人
教育政策課 芦田 諒太
教育政策課 小村 悠祐
傍聴者 :15名
【会長】
定刻となりましたので、第4回高槻市学校教育審議会を開催いたします。
本日の会議につきましては、「高槻市学校教育審議会の会議の公開に関する要綱」第2条の規定に基づき、傍聴を許可したいと思いますが、傍聴希望の方はおられますか。
【事務局】
傍聴希望者がおられます。
【会長】
それでは、傍聴を許可したいと思います。傍聴の方に入場いただいてください。
<傍聴人入室>
【会長】
さて、本日の議題は、次第にあります2点になります。まずは、配付資料の確認をしたいと思います。事務局からよろしくお願いいたします。
【事務局】
本日の配付資料について、ご確認をお願いしたいと思います。次第に続きまして、
(1)第3回高槻市学校教育審議会 学校視察の感想(まとめ)
(2)審議会スケジュール(案)
本日の配付資料については、以上2点でございます。また、参考として第1回で配付した諮問書をお配りしております。不備等ございましたら、お知らせいただきますようよろしくお願いいたします。
【会長】
それでは、議事1の「今後の審議内容について」に移らせていただきます。
まず、本審議会としては、第1回で受けた諮問内容に対する答申をまとめていく役割がありますので、答申策定に向けた見通しを共有したいと思います。
第3回までは、私たち審議会委員の共通理解を図るための時間が中心となりましたが、今後は、答申策定に向けた具体的な調査・審議を行う必要があると考えています。
そのため、この第4回は今後の審議を進めていくための論点整理の回として、第3回までに得られた内容をもとに、第5回以降にどのような議論を行い、最終的にどのように答申にまとめていけばよいのかを共有したいと考えますが、よろしいでしょうか。
では、今後の論点を考えるにあたり、第1回で審議会に出された諮問書を改めて確認したいと思います。それでは諮問書をご確認ください。
諮問事項としては、「本市における義務教育学校の設置について」となっており、諮問内容として、「義務教育9年間の一貫性・連続性のある教育活動を通じた児童・生徒の学力の向上や豊かな人間性の育成を目指し、本市の現状をふまえた義務教育学校の設置について、調査及び審議」をすることとなっております。
当審議会が示す答申に求められることは、義務教育学校の設置に係るその方策を示すことですが、そのためには、高槻市のこれまでの実践の積み上げや現在の学校の状況などを勘案して、また、将来を見据えて、高槻の学校教育がさらによりよいものとなるための議論が求められていると考えております。
これからの議論は、教育的な観点を基本として、全市的な観点で、また、プラス面・マイナス面も含めた幅広い観点で議論を行う必要があると考えます。
この答申をもとに、市では今後方針を決めていかれると思いますので、多角的に示すことができればと思っております。
さて、第1回から第3回までの審議会の内容について、確認したいと思います。
第1回では、高槻市の教育改革の流れや義務教育学校制度に係る基本的な内容を確認しました。これまでの教育改革の延長線上に今までの議論があること、また義務教育学校制度導入によって期待される効果等が説明されました。義務教育学校については、多様な設置形態が考えられるものであることから、義務教育学校制度の議論とともに、高槻市の現状と今後を見据えた設置の在り方について、どの形態が一番良いのか、適切なのかを今後議論していく必要があると考えています。
第2回では、高槻市の連携型小中一貫教育の成果と課題の説明をうけ、各中学校区が積み重ねてきた具体的な取組を確認しました。
これまでの連携型小中一貫教育による、中学校区での実践の積み上げと定着を鑑みまして、現在の中学校区を基本として、今後の検討を進めていくことを確認しました。
第3回では、視察として豊中市立庄内さくら学園を訪問しました。
審議会委員の皆さんから視察後の感想を提出いただきました。私もすべて読ませていただきました。本日、配付資料として感想から抜粋した内容が配られております。その中でいくつか紹介しながら、同時に何人かの委員にも直接感想をお話いただきたいと思います。
感想を集約して、観点ごとにまとめています。まず、感想として多かったのが、組織体制に関わるところでした。
1人の校長先生、1つの教職員組織として取り組むことによる効果の大きさ、小中の教員が互いに学び合える環境の良さ、9年間で力をつける視点を持って子どもと関わる意識の高さなどが挙げられていたと思います。
一方で、「課題」にもある通り、小学校と中学校の教員の相互理解に苦労したという話もありました。現在校長を務めておられ、小中の校長を経験されている中で、お気づきの点がありましたら、お話をいただけたらと思います。
【委員】
義務教育学校を見に行ったのは初めてだったのですが、まず校長先生が視察を率先して対応され、冒頭の挨拶で終わらずに最後まで話されていたのが印象的でした。その様子を見て、あらためて9学年ある学校で校長先生は一人なのだと感じました。
校長先生が快活に、ざっくばらんに話をしていただく中で「5・6年の一部の教科を時間数調整もしながらだが、後期課程の教員に持たせている」という内容がありました。高槻市の連携型でもそのような工夫をしている校区はあると思いますが、一つの学校で前期課程の授業に後期課程の専門教科の教員が行くのを、校長の指示で行っておられているという話でした。校長の仕事は様々なマネジメントがあるのですけれども、小学校なら学年配置や担当教科に悩むし、中学校なら支援学級の担当の時間数も考慮します。また、校務分掌の兼ね合いや、一週間で一人の教員に与える持ち時間数も悩みます。校長先生の話を聞きながら、小学校の前期課程・中学校の後期課程すべてを俯瞰しながら、一人の校長が時間数を調整して担当教科を決めているお話を聞いて、そのような考えで作成した教育課程には自ずと一貫性が出てくるのだと強く感じました。校長の仕事は増えると思うんですけれども、9年間を網羅した教育課程の編成を堂々とやっている様子が伝わってきました。独自のカリキュラムの話もありましたが、9年間で子どもたちに何を学ばせるかを考えられていました。さらに、その裏では教職員に何を学ばせるかの研修があると推測できました。一人の校長が一つの指示系統をもとに形作っていく学校の様子が伝わってきて、非常に興味深かったです。
校長先生が「この学校は大変だったが、色んなことをやっていけそうだ。」という言い方をされました。その言葉が非常に前向きで、目標である「子どもたちが力をつける」ために、色々な迫り方をされており、楽しそうな前向きな様子を見て、自分は同じ気持ちで職務ができているのかとドキッともしました。
最後のほうで、「前期課程の教員で『この子たちが巣立っていくのを見たい』と、中学校免許を取ろうとしている教員がいる。」と聞き、凄いなと思いました。職員の仕事観が変わったことを、生々しい言葉で語られていたのではないかなと思います。付け足しで「この学校に配属されたときは色々考えていた教員も、『この学校でがんばりたい』と転勤希望が出なかった。」という話がありました。義務教育学校は9年間を任されるので大変だが、やりがいを感じて仕事をしている様子は視察で感じましたし、校長をしている立場として胸に沁みた次第です。
小中の9年間を任されることで、校長のマネジメントの範囲が広がり、子どもたちに力をつける教育が展開できます。反面、校長としての力量が問われることになるので、そこのところは課題とも言えるかもしれません。それでも、大変だが、やりがいは感じるだろうし、子どもたちが一貫性のある教育で育てられていることに魅力を感じました。
もう一つ課題として、校長先生も教育委員会の方も「前期課程では、後期課程では…」という区切りの話がたくさんされていましたが、1年-4年の第1ステージ、5年-中1の第2ステージ、中2-中3の第3ステージというくくりでの取組については、視察中に感じ取るものが少なかったように思います。高槻でも連携型の中で意識しながら取り組んでいるものですけれども、義務教育学校でもステージのまとまりを意識して教育活動をするのは難しいのかもしれないなと感じました。
【会長】
ありがとうございます。連携型小中一貫教育との違いとして、「1人の校長先生」のマネジメントがあると思いますが、小学校と中学校が一つに融合して新たな文化を創っていくという観点では「1つの教職員組織」の重要性もあるかと思います。その点について皆さんどのようにお感じになられましたか。
【委員】
私も校長として視察をする中で、学校がどのように組織されているのかを見ることができたと感じています。校長先生が、学校の「これまで」と「これから」ということをたくさん語っておられて、自分がそこの校長になったときにあんな風に語れるかなと思いながら話を聞いておりました。
校長先生は、「小学校と中学校の教員がお互いの文化を共有して進めることはできるのかを心配していた」と話されていました。実際の学校を見てみると、子どもたちはいきいきと学習を進めていて、すごく自然に小中学生が同じ場所にいるなと思いました。特に印象的だったのは、後期課程の教員が前期課程の子どもに声をかけている場面で、そのような関わりが日常なのだと感じられました。
先生方が、もとが小学校の先生でも中学校の先生でも関係なく、あまり意識せず取り組まれている様子と、子どもたちも「自分の学校の先生だ」と認識して学校生活を過ごしている雰囲気が伝わってきました。ここでは、一つの教職員集団の中で、教員同士が学び合い、学校を良くしていこうと切磋琢磨する姿を子どもたちに見せることで、子どもたちも成長できる環境になっているのではないかと思いました。先ほども、「SDGプログラム」など独自カリキュラムを設定し、9年間で系統的に取り組んでいるという紹介がありました。やはり9年間というのが大きくて、9年間の子どもの育ちと学びを、小中の文化を融合させることで、授業改革にもつながっていくのではないかと思います。小中の先生たちがその垣根を越えて、そこに取り組んでいる姿を子どもたちが間近に見て、感じ取ることができるところが、魅力だと感じました。
「子どもにとって最大の教育環境は教員」という言葉を聞いたことがありますが、このような教育環境が高槻市にもあれば、子どもたちが人と人とがつながる大切さを実感し、「生きる力」をつけていくことができるのだろうと思います。
高槻では連携型小中一貫教育に取り組んで、一定の成果を挙げていると思うのですが、今お伝えしたような雰囲気を現在の連携型小中一貫教育の中で作り上げることは難しいのではないかと感じました。小学校と中学校の教員はお互いの文化を知らないことから、異校種の違いを受け入れて融合することは、物理的にも組織的にも、相互理解を深めるには限界があるのかなと思います。今回の視察で多様な教職員がお互いにつながり、義務教育学校の文化をつくろうとしているところをみて、大きな魅力を感じました。
【会長】
委員がおっしゃられたとおり、私も同じことを感じましたが、目の前にいる子どもは前期課程や後期課程に関わらず、すべての教員にとって「自分の学校の児童・生徒」であるという意識を持っておられたので、学ばなくてはいけない、学び合わなくてはいけない教職員集団になっているかなと思いました。先ほどおっしゃられた「子どもにとっての最大の教育環境は教員」だというところを、わずかな視察の時間の中でも感じ取れたのかなと思います。
他の方はいかがでしょうか。
確かに、これまでの組織体制から変わることで、様々な取組の在り方を見直す動きがあったという話もありました。その中の一つとして、「教育内容」や「地域」のカテゴリに関わる話になりますが、学園独自のSDGプログラムに対する感想も多くありました。地域とともに9年間のプログラムを作っていくものとして、義務教育学校だからより充実する内容の一つとして印象的であったかと思います。
また、今回お伺いした庄内さくら学園の設置形態は、施設一体型の義務教育学校でしたが、施設面についてはいかがでしょうか。
【委員】
学校を視察して、一番最初に思ったのは、これまでの教育は、学校があって、そこに児童生徒が合わせるという感じだったと思いますが、庄内さくら学園はそうではなくて、それぞれの子どもの特徴に合わせた学校施設の設計・施工がされていたあたりは、すごいなと感じました。特に学校の体育館にはステージがあって、そこで活動をする際に、そのステージに登れない子のためにエレベーターがありました。これはすごく子どもたちのことを考えている設計だなと感じました。
また設備面では、十分すぎるほど充実していました。体育館は二面ありましたし、全校集会を開ける場所もあって、なかなか全校生徒1000人を超える子どもが一堂に会するのは難しいところで、私の学校は1000人超えていますけれども、全校集会を開けず、分散してやっています。運動場も広く、取り合いが起きないなと思いました。とにかく子ども本意な設計・施工で素晴らしいなと感じました。
【会長】
ありがとうございます。おっしゃられたとおり、ユニバーサルデザインに配慮されたつくりだったなと思いました。廊下も非常に広かったですね。あれなら事故も起きないでしょうし、私は廊下が特に印象的でした。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
施設・設備は本当に素晴らしいなと感じました。正面の階段もステージのようになっていて、様々なことができるように、非常によく考えられていると思いました。保健室も二人の先生がいるということでしたが、一方で部屋が狭いという現状もあるなど、考えなければいけない部分もあるのかと思いました。
地域代表の立場で言えば、地域の人が使いやすい工夫を非常にされていたと思います。体育館も外から入れるので、何回も話し合いを重ねて、そのような工夫されたとうかがって、非常に優れているなと思いました。利用しやすいような形を話し合いの中で工夫されていて、非常に参考になりました。
【会長】
先ほどのお話にもありましたが、地域密着型の学校でありますので、地域の方が自由に出入りできる施設・設備になっているという工夫があり、さらに新たな学習に対応する環境が備えられているというお話もありましたが、その観点で何かありますか。
【委員】
施設そのものが充実していることは大事ですけれども、他方で新しくすればそうなる部分もあるかなと正直感じました。新しい学校なら義務教育学校でなくてもやろうとしたらできるので、施設面は特に何も思わなかったです。むしろそこでどんなことをされているのか、どのような運用をされているのかが大事かなと思います。
小学校では6年間の関わり、中学校では3年間の関わりですが、義務教育学校では9年間の関わりになります。一つの学校に関われる長さを長くしていくことが大事になってくるのかと思います。茨木市にある「おにクル」という施設では、子育て世代の乳幼児を預ける施設があったり、ご高齢の世代が集まったり、高校生がずっと勉強をするなど、色んな世代の人が関われる点が賑わいの要因ではないかと思っています。それと同じで、長く関わることができる工夫が庄内さくら学園にはあるなと思いまして、学園のすぐ隣にあるコミュニティの拠点と繋がっていて、学校を6年間・3年間の付き合いだけでなく、長い付き合いができる地域の拠点を目指す運用が非常に大事だなと感じました。
【会長】
確かにその通りで、学校の隣には施設があって、地域の拠点に学校がなっているんだというのが伝わってきました。ありがとうございます。
他の方はいかがでしょうか。感想のカテゴリに関係なく、この場で共有しておきたい内容はありますでしょうか。
【委員】
おっしゃられたとおり、本当に地域に開かれている、地域の方が一緒に学校づくりに参加しているなという印象を受けました。朝ご飯を一緒に食べるなど、地域の方が自由に学校に出入りして、学校教育に参加していることがすごく素敵だと感じました。
また私は就学前施設の教員として、小学校とつなぐ「架け橋期」が重要と言われる中で、未就学の子どもたちがどのように関わっているのかを校長先生に尋ねたときに、幼稚園の子どもたちが散歩がてら学校に訪れ、屋上や校庭で遊び、小学校に段差なく入学できるように交流を重ねていることを聞いて、当たり前のように学校に入って遊べる環境と、先生方の受け入れてくれる許容量にすごく感銘を受けました。高槻市でも小中学校や地域との交流はあるのですが、どこか遠慮があったり、公立と私立でなかなか交われなかったりするので、羨ましくもあり、見習いたいなと思いました。
【会長】
保幼小の連携、接続の観点からのご感想でした。ありがとうございます。
他に何かありますでしょうか。
【委員】
私はコミュニティ・スクールに関わっている中で、子ども同士の学び合いについての話をさせていただくことがあります。
庄内さくら学園では、例えば1年生の体力測定を9年生がサポートする話がありましたし、運動会などの学校行事にも子どもたちが積極的に関わり、他学年との交流やサポートに多く携わっているとの話を聞きました。
そのような取組を充実させる上で、教職員の方々の立場でいうと、何かを削りながら時間をとっていかなければいけない、工夫しなくてはいけないという面があると思うのですが、働き方改革を進めていく上でも、地域や他学年の子どもが教育活動に参画することは、プラスとなるものかと思います。
実際に視察して、義務教育学校においては、教職員が学び合いながら、また子ども同士も学校行事を含めて色んな学び合いをしながら、教育を進めていけるものだと実感しました。今進めているコミュニティ・スクールも地域がどのように関わるのかの話し合いが必要不可欠だと思っています。
一番思ったのは、子どもの学び合いを通じて、学校を創っていくということに感銘を受けたというところです。
【委員】
まず、子どもの立場で考えてみると、楽しそうな学校だなと感じました。私が子どもだったら「学校に行きたい」と思うと感じました。
次に、教員の立場から考えると、職員室で他の教員と会話しやすくて、こんな学校で働いてみたいなというのが率直な感想です。
施設の話から入るというのが、どうかというところもありますけれども、下足室から階段を含め、子どもたちの気持ちを明るくさせる設計でよかったと感じます。設備の点で言うと、ベランダに菜園があって、畑の観察が子どもも先生も面倒に感じてしまう環境もあるかと思いますが、休み時間にすぐに見て収穫することができますし、本当に理想的だと思います。今の学校が抱えている面倒な部分、もう少しこうだったらいいという部分が、全て改善されて作られた学校だと感じました。
プールも小プールと大プールが並んでいて、第3ステージの子どもが泳いでいる時間を見ましたけれども、小学生が一緒に泳ぐときもあるということで、そうなると関わる先生方も多いので、安全面では安心感が出る体制なのかと思いました。
トイレの手洗いも、私の中ではトイレ内にあるという常識があったのですけれども、外に手洗いがあって、男女を分けずに仲良く使っているというのもよく考えられていると思いました。
一番気になっていた通学路のことで、子どもの安全というのは学校を創るために大事だと思っています。通学路に関しても地図で示していただいて説明を受けて、安全面も問題点を乗り越えてきたとのことでした。ただ、そのような土地が上手く手に入るのかどうか、難しいとは思います。そこもクリアできたらいいと思います。
また地域の方の力が必要で、地域との連携もとても大切だと改めて感じました。
最後に、いじめ防止基本方針のマニュアルがとても細かく、小中関係なく同じ見解をもって対応できるので、人権の面でもとても良いと感じました。やはり、施設一体型というのはとてもいいというのが感想です。
【会長】
お二人から地域の話、施設の中の細かな気遣いというところがありました。
他の方はいかがでしょうか。
【委員】
教育課程の一貫性、縦のつながりの良さ、教員の学び合いなどが義務教育学校のメリットとしてあるかと思います。
この校区がほぼ半径1キロメートルの範囲内にあって、二つの中学校、三つの小学校で構成されている中、地域説明会を数多くされてきたこととか、開校が決まってからも地域の方との対話を緻密に進めてきたことが感じ取れました。その中で、信号機も付け替えられたりだとか、新設したりだとか、地域の色んな願いも含めながら創ってこられたのだと思います。
率直に感じたのが、併設型と分離型では無理ではないかなと私は感じました。教員の学び合いは一体型であるから一つの職員室でできるものだと思いますし、意思の疎通は難しいので、併設型や分離型では本当に可能か疑問なので、やるからには一体型を中心に考えていくのがよいと強く感じました。
【会長】
ありがとうございます。施設形態については、今後の議論としても必要なところかと思います。
【委員】
小学生と中学生が同じ場所にいる中で、子どもたちが一緒にいるからこそできることの例として、いくつか話がありました。一つは小学校の文化である20分の休み時間を使って何ができるかという議論があり、ステージごとのスポーツ大会を実施して交流の時間としている。また、大きく立派な階段が観客席としての機能も持っていて、スクリーンを下ろして、クラブ紹介のプレゼンテーションなどをしている。そして、5年生、6年生は部活動に参加できる機会が設けられている等、一緒にいるからこそできるという具体例が聞けました。その点は、非常に意義があるなと思ったところです。
【会長】
本当に階段もすごかったですね。アシンメトリーのつくりで、こんなところまで工夫をされている、思いを込められているのだなということも感じました。副会長は、感想としてはいかがでしょうか。
【副会長】
視察をさせていただいて、二つ印象的な言葉がありました。
一つは、校長先生が「何を言っても一回は叱られるんです」と言っておられました。
先ほど、他の委員からもあったように、それまで地域等への説明を散々やった後に開校しているのに、何かやるたびに一度苦言をいただく。でも、やっていきながら、お互いの距離を縮めていきながら取り組まれている校長先生の熱量というものをすごく感じたなというのが、印象的です。
もう一つは、「義務教育学校にしかできないことは何か」ということを職員に聞きました。そうすると「既成概念を含めて一度すべてリセットできること」とおっしゃられました。深い言葉だなと思いながら聞いていました。
学校は子どもたちの育ちや学びを支援して保障していく場所であると思っています。ここまでの議論で出てきている環境や施設や取組などは育ちを支えるものの一部であると思っています。そもそも学校は勉強をするところで、学びに関してどれだけの保障ができるかというところが大変大切なことなので、そのあたりについてお話したいと思います。
これも先ほどから話に出ていますけれども、ステージを3つに分けて、4-3-2というシステムを引き、その中で特に第2ステージに注力するのだという考え方をされていました。他の委員からも、高槻市でも仕掛けが課題になっている、小学校5・6年と中学校1年の融合について何かいい方法がないかなという点も課題であるという、何か仕掛けが必要なのだとお話がありました。今小中一貫教育が行われている中で、接続の根幹はここにある、学びの根幹はそこにあると思っています。ところが、現状の連携型における小学校5・6年、中学校1年というのは、相互乗り入れでやっているのではないかと思います。今、阪神電車と近鉄電車は一本になっているので、相互乗り入れ区間として神戸から奈良まで乗り換えせずに一本で行けます。だけれども、2つの鉄道会社がその間を相互乗り入れしている。そういう感覚で、小学校と中学校がお互い歩み寄って、そこの三か年あるいは二か年の乗り入れをやっている、そういう区間なのかなと思っています。どちらかというと一過性のイベントに近いものなのかと思います。
それが義務教育学校は連続性のある9か年というくくりになるので、その間がフラットな通過点なんですね。通常の学校ではイベントである小中の交流が、9か年の義務教育学校では通過点として日常の交流になります。そのため、より柔軟で魅力があって、なおかつ可能性のあるカリキュラムを展開できる、そんな気がしました。そういったことが、子どもの育ちと学びを支えるシステムとして、義務教育学校だから可能なものだと深く感じました。
【会長】
育ちと学びを支えるシステムという言葉がありました。他の方はいかがでしょうか。
【委員】
私がPTAを7年やってきた経験上、一体型の見学に行かせていただいて、高槻と比較した場合に、地域によって違いはありますけれども、高槻は一つの小学校で別の中学校に行く場合があり、友だち同士が違う学校になることをよく聞きます。それはそれで新たな友だちを作ればよいとは思うのですが、一体型の場合は9年間一緒で、関係を作ることができて、竹馬の友ではないですけども、そういうことも可能であると思いました。別々の学校に行くようになったのは、歴史があるのだということも聞いています。それでも、一つの学校で、同じ友だちと継続して関われるというのは、大人になって友だちって非常に大事だなと思うので、子どもたちにとってのメリットは大きいかなと感じました。
当然新しい箱ものに入って学習できるというのはメリットですし、私自身は教員ではないので、教員目線というのはなかなか難しいのですけれども、子ども目線で考えるとそれは大きいのではないかなと思いました。
【会長】
ありがとうございました。地域に住む子どもたちにもメリットがあるというところのお話でした。
【委員】
私自身は子どもが多い家庭で、一番上の子から一番下の子まで8年の差があり、ちょうど義務教育学校の1年生から9年生までというのと近いと思っていました。中学生くらいになって自我を抑えられる年頃に小学校1年生を見るという経験は、一人っ子の家庭があったとしても、毎日一緒にいることできょうだいがいるかのような気持ちが芽生えると思います。一日だけ関わるイベントのような感じですと、可愛かったねで終わってしまいそうですが、毎日一緒にいるということが、1年生にとっても9年生にとっても成長につながるのかなと思いました。学力だけでない成長にもつながるという点でも一体型のメリットは感じました。
【委員】
施設一体型の話がすごく盛り上がっていて、施設一体型は理想的だなと思っています。私は幼稚園に勤めていたのですが、校区の中で一体型ではなくても支え合って、地域も盛り上がっていた経験があるので、一体型ばかりが求められない、全部が一体型になるとは限らない中で、分離型になっても一体型の心意気を引き継いでほしいなと思いました。
それともう一点、先ほどから教職員が学び合う、そして子どもたちが学び合うという話がありました。私も元園長の立場としても、園を含めた校区内での学び合いで、子どもたちはよく育つという印象があります。しかし、公立幼稚園では子どもたちの数がかなり減ってきています。高槻市全体でもどうなのかなと気になるところです。児童生徒数とそこに関わる教職員の学び合う人数が減ってしまうことが気になるため、今後の高槻市の児童・生徒の推移については、お聞きすることはできますか。
【事務局】
今後の児童・生徒の推移については、具体的な資料をもちまして、審議会でお伝えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【会長】
それでは、ご準備お願いします。多数のご感想いただき、ありがとうございます。
先ほどの話にもありましたが、分離型なのか一体型なのかということは、冒頭にも申し上げましたとおり、高槻市が目指す方向性にどの形態が一番合っているかというところを今後も審議していきたいと思います。
今いい話も多く出ておりましたが、課題もありまして、3点ほど資料にありますが、いずれも校長先生の話を通じて感じた小中の教職員の融合に係る内容でした。
義務教育学校で一つの組織として日々過ごしていても、校長先生の一番の懸念として挙がるのは、それだけ小中学校がそれぞれの独自の文化を築き、長きにわたって積み上げられてきたことを示していると思います。
まだ開校2年目ということもあり、融合という段階であるかと思われますが、小中学校をくっつけたという考えから9年間を一貫した一つの学校であるという考えに至るまでの難しさが課題としてうかがえました。
また、感想の中には「小中の教員の相互理解」において、「分離型の場合は非常に困難ではないか」という意見がありました。高槻市では、連携型小中一貫教育の枠組みの中で創意工夫をしながら取り組んでいるということですが、今後義務教育学校制度の議論とともにふさわしい設置形態についても考えていきたいと思いました。
さて、本日の本題である第5回以降に必要な議事について、協議したいと思います。資料として配付されています「審議会スケジュール(案)」をご覧ください。
本日を除いて、あと5回会議を行う予定ですが、第9回は答申の骨子を確認する回として、第10回は作成した答申を最終確認する回として時間を使う必要があると思います。実質、調査・審議を行うことができるのは、第5回から第8回までの4回です。
すでに委員の皆さんの感想等から、様々な示唆があったかと思いますが、どのような内容について協議を進めていけばよいか、ご意見いただきたいと思います。
先に私からは1点、第2回で委員からも意見が挙がっておりましたが、「過去の答申」の概要については、私たちの審議内容に関するものもありますので、確認する必要があるかと考えています。他に委員の皆さんいかがでしょうか。
学校安全をご専門とされておられる観点から、話し合っておくべきことはありますか。
【委員】
学校安全を考える視点は、3領域として「交通安全・生活安全(防犯)・災害安全」がありますが、防犯とか災害については、高槻市内の各所で大きく変わるものではないと思うので、義務教育学校に関する議論の中では中心となる議題ではないと思います。他方で交通安全については、通学範囲や通学路などに関する他の委員の意見もあったかと思いますので、そういった観点での議論はあってもよいかなと考えています。
【会長】
通学距離などの安全という観点ですね。他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
先ほどから地域という言葉、地域との連携が大切という話がたくさん出てきていたかと思います。他の委員の方からも話がありましたように、今コミュニティ・スクールの設置が進んでいますので、地域コミュニティと各中学校区がどのような現状にあるかは共有しておいたほうがいいと思いました。
地域の方の支えがなければ学校活動が進んでいかないところがあります。学校や子どもたちの応援団として「地域とともにある学校」づくりの取組を考えることが、義務教育学校制度を考えていく上で大切な視点ではないかと考えますので、協議した方がよいと思いました。
【会長】
ありがとうございます。「地域とともにある学校づくり」というキーワードをいただきました。
他にいかがでしょうか。
【副会長】
先ほども申し上げた中で、子どもたちの継続した学びが保障されていることを、どんなふうに進めているか、その研究をしている校区があると思うので、もしよろしければ学校からの話を直接聞ける機会があってもいいかなと思いました。
もう一つは、次期学習指導要領というものに向けての国の動きも、少しずつ情報が出だしているところかと思います。そういったところでの国の状況や方向性などについてもここで確認した方がいいと思いますので、次回以降の議題に添えていただけたらと思います。
【会長】
学校から直接話を聞くというところ、また、国の目指している方向性についても高槻の教育を考えていくために確認してはどうかということでした。
他にいかがでしょうか。
【委員】
府内では庄内さくら学園にお伺いして、視察をさせていただく機会を得たわけですが、一体型でなく分離型でされている自治体が府内にはあると思います。東大阪だったかと思いますが、例えば、そういうところはどういう状況なのかということも、我々が伺うのが難しいようであれば、お招きして話を聞かせてもらうとか、可能であれば資料提供だけでもよいのですが、そんなことも必要かと思いました。
【会長】
分離型の学校からの情報提供をお願いしたいというところが出ております。
他にご意見はありますでしょうか。
よろしいでしょうか。ご意見ありがとうございます。
たくさん挙がりましたが、今後の議事の内容を私の方でいったん預からせていただいて、整理して、第10回の答申の手交に向け、先ほど挙がった検討事項とまとめの時間を考えまして、全10回の流れを作成してみたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【会長】
事務局からは何か意見はあるでしょうか。
【事務局】
会長からもありました通り、第10回は答申を手交いただければと考えております。今後のご審議で、必要な内容について説明できるよう準備をいたします。
【会長】
それでは、今後の審議内容については、その方向で進めたいと思います。
引き続いて、議事2「次回の審議に向けて」です。
先ほどの議論を踏まえまして、取り急ぎ第5回で取り扱う内容を確認できたらと思います。まずは、今後答申を策定していく上で、先に「過去の答申」の内容について確認することは必要かと思います。
また、教育的な観点で審議を進めるという中で、副会長からも意見がありましたが、これからの社会に求められる教育については、共有した方がいいと考えています。義務教育学校制度を導入し、これからの高槻市がどのような小中一貫教育を進めていくのかの背景を理解する上で重要になるかと思います。
その2点について、協議していく方向でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【会長】
事務局から意見等は、ありますでしょうか。
【事務局】
ただ今ご意見にありました資料を次回に準備させていただきたいと思います。
【会長】
よろしくお願いいたします。最後に事務局から連絡事項等はありますか。
【事務局】
次回は、1月31日(金曜日)15時からで、この会場で開催いたします。
ご多忙のことと存じますが、ご出席をよろしくお願いします。
事務局からは以上です。
【会長】
それでは、これで第4回学校教育審議会を閉会いたします。
お疲れ様でした。