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第7回高槻市学校教育審議会 会議録
令和7年5月30日(金曜日)午後3時00分、第7回高槻市学校教育審議会を開催した。
出席委員
一柳 康人 委員
城下 英行 委員
津田 和美 委員
蛭田 勲 委員
鎌田ひとみ 委員
宮本 剛 委員
山本 新一 委員
高木 祐樹 委員
安盛 啓史 委員
田中 健文 委員
八尾 洋美 委員
山田めぐみ 委員
入江 隆男 委員
出席した事務局職員の職、氏名
教育次長 青野 淳
教育次長代理 岡田 二郎
教育政策推進官兼教育政策課長 小寺 基之
教育総務課長 森本 和幸
学校安全課長 田口 裕之
保健給食課長 松岡 広樹
教育指導課長 西田 大世
教育センター所長 山本由紀子
みらい創生室主幹 岡野 明洋
コミュニティ推進室主幹 橋爪 浩樹
保育幼稚園総務課長 門屋 智博
教育政策課課長代理 小澤 祐樹
教育政策課主査 菊川 雅也
教育政策課指導主事 村山 健
教育政策課主任 森脇 信修
教育政策課 土井 直人
教育政策課 芦田 諒太
教育政策課 福田 妃里
傍聴者 :21名
【会長】
定刻となりましたので、第7回高槻市学校教育審議会を開催いたします。
本日の会議につきましては、「高槻市学校教育審議会の会議の公開に関する要綱」第2条の規定に基づき、傍聴を許可したいと思います。
それでは、傍聴の方に入場いただいてください。
(傍聴人入室)
【会長】
さて、本日の議題は、次第にあります2点になります。
まずは、配付資料の確認をしたいと思います。事務局からよろしくお願いいたします。
【事務局】
本日の配付資料について、ご確認をお願いしたいと思います。
次第に続きまして、
(1) 第6回高槻市学校教育審議会 要点録
(2) 第7回高槻市学校教育審議会 資料〈スライド〉
(3) 審議会スケジュール(案)
本日の配付資料については、以上3点でございます。不備等ございましたら、お知らせいただきますようよろしくお願いいたします。
【会長】
それでは、議事1「義務教育9年間の育ちと学びの連続性を保障する教育環境整備 ー安全・安心な学校づくりに向けてー」に入ります。
本日は答申に向けた非常に意味のあるデータが提示されると思っております。
高槻市における義務教育学校の設置は、義務教育9年間の一貫性・連続性のある教育活動を通じた児童・生徒の学力の向上や豊かな人間性の育成を目指しているものです。それを実現するための教育環境について、高槻市の現状を踏まえた議論を行えたらと考えています。
高槻市の重点取組である「安全・安心な学校づくり」に係る内容として、「今後の児童生徒数の推移」「通学距離等の地理的環境」「学校施設の現状」「地域の防災拠点としての機能」の4つの観点から、資料を作成いただきました。
すべての説明を受けた後に、一つずつ審議していけたらと考えています。それでは、事務局から説明をお願いします。
【事務局】
「義務教育9年間の育ちと学びの連続性を保障する教育環境整備 ー安全・安心な学校づくりに向けてー」として、「今後の児童生徒数の推移」「通学距離等の地理的環境」「学校施設の現状」「地域の防災拠点としての機能」の4点に分けて、ご説明いたします。
スライド3をご覧ください。
スライドに示しているとおり、第6回の審議会では、「今後の小中一貫教育の方向性」として、教育委員会の考えを説明いたしました。
その中でも、小中一貫教育をさらに推進する上で、安全・安心は基盤となるものであり、子どもたちに力をつけていくために、必要不可欠なものであると認識しています。
スライド4をご覧ください。
このスライドは、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の資料を抜粋したものです。右側の図で示されているとおり、「全ての子どもたちの可能性を引き出す学びの充実」を中核として、「安全で持続可能な環境」は、それを支える重要な基盤であることが示されています。
今からお伝えするそれぞれの観点において、子どもたちのよりよい学びの実現のために、どのような教育環境が望ましいのか、この後、ご意見をいただけたらと思います。
まずは、今後の児童生徒数の推移についてです。
スライド6をご覧ください。
この資料は、令和6年度の人口推計をもとに、高槻市における児童生徒数の推移をグラフで示したものです。令和7年度以降は、推計値として算出されています。
昭和57年の5万9千人を頂点として、令和6年度は2万4千人に減少しています。
なお、「高槻市学校規模等適正化審議会」から答申が出された平成13年は、2万7千人であり、昭和57年以降の減少が一定下げ止まりとなる時期と重なります。
スライド7をご覧ください。
こちらは、令和6年度から令和11年度の「中学校区ごとの児童生徒の推移」を示したものです。上段が令和6年度、下段が令和11年度の各中学校区の児童生徒数となります。
あくまでも令和11年度は推計値となりますが、全国的な傾向と同様に、多くの学校で児童生徒数が減少することが予想されています。
続いて、通学距離等の地理的環境についてです。
スライド9をご覧ください。
児童生徒の通学に関わる基準として挙げられるのが、まず上段に示している「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令」の条項です。
こちらでは通学距離の基準が示されており、「小学校にあってはおおむね四キロメートル以内、中学校及び義務教育学校にあってはおおむね六キロメートル以内であること。」とされています。
通学時間については、下段の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」にある「『おおむね1時間以内』を一応の目安とした上で、各市町村において、地域の実情や児童生徒の実態に応じて、1時間以上や1時間以内に設定することの適否も含めた判断を行うことが適当である」という内容が参考となります。
スライド10をご覧ください。
先ほどの基準を参考としながら、現在の「中学校の校地」に施設一体型の義務教育学校が設置されたと仮定し、中学校区の一番遠い住宅地等から中学校までの最遠距離を算出しました。
第八中学校、第九中学校、阿武野中学校など山間地を含む中学校区を除き、最遠距離の平均を算出したところ、約2キロとなりました。
なお、山間地を含む中学校区を含めた場合でも、平均は3.2キロであり、国の基準の範囲内の通学距離となります。
また、山間地を含む中学校区を除き、最も遠いのは第二中学校の2.69キロでした。
一方で、児童生徒の通学に関しては、通学距離だけではなく、危険箇所への対応による安全の確保が重要であると考えています。
スライド11をご覧ください。
スライドに示しているとおり、本市では、「校区安全マップ」や「たかつき安全NOTE」などの教材を活用し、子どもたちへの安全教育を行っています。
校区安全マップについては、地域や保護者の意見を踏まえながら継続的に更新し、通学路の安全の確保に向けて、子どもも大人も共通認識を持てるよう取組を進めています。
スライド12をご覧ください。
子どもの安全な通学に係る手立てとしては、学校では、安全教育を充実させ、通学に係る安全指導の徹底を図ることが挙げられます。
市においては、幹線通学路-いわゆるおおむね40人以上の児童が通学のために使用する道路を指定することや、通学路の安全確保に係る環境整備、セーフティボランティア・交通安全指導員の確保等が挙げられます。
学校と市が取り組んでいることに加え、地域や保護者の方々を含めた、子どもに関わる大人が協力して安全を確保することが重要であると考えています。
また、義務教育学校が設置される中学校区が決定してからではありますが、特に、低学年の通学における危険箇所に関わる対応、支援が必要な子どもへの配慮等については、設置する校区の保護者・地域の意見を踏まえた対応策を、十分に検討する必要があると考えています。
続いて、学校施設の現状です。
スライド14をご覧ください。
このスライドでは、文部科学省の「学校施設整備・活用のためのプラットフォーム」の資料で、「公立学校整備に係る主な課題」として、令和時代の学校施設整備の考え方が示されています。
学校施設整備については、学校教育(ソフト)面からの要請と、施設整備(ハード)面特有の課題として、学習指導要領の改訂を踏まえた、「これからの学び」に対応するための観点と、施設の維持・更新等のそれぞれの観点で検討する必要があります。
スライド15をお願いします。
本市の学校施設について、本市では、昭和40年代の人口急増期に整備された築45年以上の建物が約8割であり、市の方針にもとづいて長寿命化-いわゆる「事後保全」から「予防保全」に切り替えた対応を進めています。
当然ながら、子どもたちが学ぶ施設が安全であることは大前提のものとして、施設整備を着実に進めていかなければいけません。
それに加えて、これからの教育に対応する学校施設の考え方を取り込み、子どもたちの教育環境をよりよいものにしていく必要があると考えています。
スライド16をご覧ください。
「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の資料に、「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方」が示されています。すべては、木の幹に例えられている学びの質の向上につながるよう、未来思考をもった環境整備が必要であることが示されています。
スライド17をご覧ください。
ここでは、柔軟で創造的な学習空間を実現するための例が示されています。
40年以上前の状況と異なる点の一つとして、1人1台端末の整備を始めとしたDX化の推進が挙げられます。一つの例ではありますが、紙と黒板だけではない環境の下、子どもが表現する場面が多様化している例が示されています。
次のスライド18は、教室同士の隔たりがなくなり、広い廊下とも連続することで、学級の単位を超えた柔軟な学習活動の設定が可能となっている環境が示されています。
次のスライド19では、学校施設全体を学びの場として捉え、階段状の空間やフリースペースを活用する例が示されています。
スライド20をご覧ください。
先ほどの資料で示されているような環境は、すでに多くの新設・増改築された学校で取り入れられており、新たな環境で多様な実践が生み出されています。
スライド21の環境では、フリースペースの柔軟な活用により、異学年の児童生徒が作品などを見合う環境を作ったり、学級を超えた学習活動に活用したりすることができます。
スライドの22のように廊下などにある学習スペースや、至るところで本に触れられる環境は、子どもが自学自習する場となり、教員の個別指導の場ともなります。
スライドの23、義務教育学校の大きな施設の中でシンボルとなる大きな階段は、合唱会や吹奏楽部の演奏会など、学年を超えた表現活動の場として生かされていました。
スライド24・25の国立教育政策研究所による「教育改革国際シンポジウム 未来に向けた学校施設づくり」の実践発表においても、多様な学びの在り方が実現されている状況が発信されていました。
スライド26をご覧ください。
多様な教育的ニーズのある児童生徒への対応においても、一人ひとりのよりよい教育環境づくりに向けて、学校施設を捉え直す必要があると考えます。
スライドの27、こちらは「校内教育支援センター」の教室ですが、学校への行きづらさを抱える児童生徒が、周りの目を気にせず安心して登校できるように、外部からの経路・入口に配慮がされています。
スライドの28では、トイレの前の手洗い場も、ユニバーサルデザインの観点が取り入れられるとともに、子どもたちのコミュニケーションの場としても機能するように設計されています。トイレにおいては、その構造や色使いなどで、多様な性の在り方に配慮している実例もあります。
スライド29をご覧ください。
この資料では、地域や社会の人たちと連携・協働する「共創空間」としての姿が示されています。
スライド30をご覧ください。
第6回審議会において、地域とともにある学校づくりの実践報告がありました。
学校施設の中に、地域の方々との学習を生み出す場が位置づいている学校が多くあります。こちらも外部からの入校のしやすさに配慮しながら、防犯の環境も整備されていました。
スライドの31では、地域の主催する子ども食堂が、学校のランチルームを借りて行われ、にぎわいを見せている話もありました。
このように、今、求められる教育が、よりよく展開できるよう、学校施設の在り方を捉え直す必要があります。
そこで生活する子どもたち、教職員、保護者や地域の方々が、新しい教育観にふれながら、ともに子どもを育てていく環境を目指したいと考えています。
最後に、地域の防災拠点としての機能です。
スライド33をご覧ください。
学校を中心とした公共施設の複合については、文教施設、社会福祉施設、それら以外の施設に分類した中で、これだけの実例があります。その中でも地域防災備蓄倉庫としての活用が一番多くあります。
スライド34をご覧ください。
高槻市のすべての小中学校は、避難所・緊急避難所としての役割を持っています。新たに義務教育学校が設置される際には、地域の防災拠点の機能がより充実した施設になるよう計画されることが望ましいと考えています。また、新たに義務教育学校が設置される場合は、当該地域の市民が避難所の選択に困ることのないよう対応するべきだと考えています。
スライド35をご覧ください。
防災に限らず、地域の拠点として、公共施設の複合化の可能性も含めて検討する必要があると考えています。
スライド36、図書館や福祉施設など、公共施設と隣接・接続することで、地域と連携した取組や実社会とつながる学習と関連付けるなど、子どもたちの学習活動の幅を広げることができます。
スライド37に示しているとおり、放課後児童クラブ(学童保育)の施設を、義務教育学校の敷地内に置いている例もございます。
スライド38をご覧ください。
ここまで4つの観点に分けて、安全・安心を基盤とした教育環境について説明してきました。このスライドでは、改めて、それぞれがどのように子どもの「学び」に影響するかをまとめています。
「児童生徒数」は、少子高齢化社会を迎える中、減少は避けられない流れではありますが、多様な他者と協働し、多様な考えや価値観にふれる学習機会の保障に関わり、市民性の育成にも影響します。
「通学路」は、安全・安心な学校生活の大前提であり、こどもたちが、毎日安全に通えるという環境を実現する必要があります。
スライド39をご覧ください。
「学校施設」は、老朽化に対する維持及び更新は着実に行いつつ、これからの時代の多様な学びの在り方に対応するため、新たな教育観を踏まえた学習環境の整備が必要であると考えます。これまでの学校施設にない工夫が取り入れられることで、配慮を要する子どもたちへの支援や、地域との協働においても充実した対応が可能と考えています。
スライド40をご覧ください。
「地域の拠点としての機能」については、公共施設等との複合化を図ることで、学校を核とした地域の教育力の向上や、地域の防災拠点として活用されることによる安全教育の充実、地域の方々とともに、実社会とつながる創造的な教育活動を展開できる可能性が拡大すると考えています。
以上、4点に分けて説明させていただきました。
安全・安心の学校づくりを基盤とし、子どもたちのよりよい学びの実現のために、どのような教育環境が望ましいのか、ご意見をいただけたらと思います。
事務局からの説明は以上です。
【会長】
ありがとうございました。
安全・安心をベースとした新たな時代の教育に対応する学習環境の整備について、ご説明いただきました。
まずは観点の一つ目、スライド5から7になりますが、今後の児童生徒数の推移について審議していきたいと思っております。
ご意見等がありましたらお願いいたします。
【委員】
児童生徒数の推移ですが、5年後の予測として最も子どもの数が多い学校と、最も少ない学校のクラス数の差はどれくらいになるのでしょうか。
【事務局】
小学校では、子どもの多い学校では、各学年で4から5学級、子どもの少ない学校では、全学年1学級という状況です。
その中でも、特に子どもの減少が進んでいる学校においては、全学年1学級に加え、1学級当たり20人を下回ることが予想されています。
中学校では、子どもの多い学校では8から9学級、子どもの少ない学校では、全学年2学級の状況があります。
こちらも、全学年2学級でありながら、1学年1学級当たり30人を下回る状況が予想されています。
【委員】
これまでの審議の中でも、子どもたちが多様な大人、子どもと関わる経験の重要性について話が進められてきました。義務教育学校になると、各学年の人数が今より増えるだけではなく、縦の繋がりについても豊かになるような取組が設定しやすくなると思います。
今後、先行して設置する中学校区を考えていかれる際には、子どもの数が減少している地域の実態も踏まえていただき、子どもの数の推移も観点の一つとして考えていただきたいと思っております。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
少し話が逸れてくるかもわかりませんが、昨日ある小学校の耳鼻科検診の補助に行って参りました。これは人権擁護委員の仕事ではなく、有償ボランティアということで、校長先生に頼まれましてここ4年ほど伺っています。
昨日伺った学校では、1年生が1クラスだけでしたが、人数は41人いました。
高槻市は国よりも早くから1クラス35人学級編制を実施しています。とても素晴らしいことだと思っています。教員や保護者の願いが伝わったなと私は思っていました。
しかし、35人定員なのに、なぜ41人なのかという保護者からの質問がやはりあるそうです。私も10数年前に教員でしたが同じような質問を受けました。非常に答えにくいです。なぜ答えにくいのかというのはまた考えてみてください。
10年以上経って、その辺が解消されていないということに少し憤りを感じました。41人の中の8人はクラスの人数として数えられないということが今現在も続いているわけです。
先ほど、小学校は多いところで4から5クラスありますという説明がありましたが、その子たちの人数はどういう形で入っているのでしょうか。
また、通常学級以外に、支援学級が非常に増えてきています。昔と比べると種別も多くなりましたので、本当に現場にとっては大変苦しい状態です。
そして、2030年に導入される次期学習指導要領の改訂の大きな柱の一つは、学校や教育委員会が行う教育課程、カリキュラム編成の柔軟化が挙げられています。児童数についても柔軟に取り組めるよう、お願いしたいと思っています。
高槻市では、エレベーターやトイレなどの学校施設のバリアフリー化、専門的な知識を持つ教員や支援員の方を多数採用していただいて、人的なサポートもよくしていただいております。とても高槻市を評価すべきだと思っています。
そのため、多様性を認め合うシステムのインクルーシブ教育が反対に差別を生まないように切望します。
最後に、クラス数と人数はわかりましたが、当然この中に支援学級の子どもたちは入っていますよね。支援学級のクラス数については教えてはいただけないでしょうか。
【事務局】
先ほど私の方から説明させていただいた学級数は、通常学級の数としてお示しをさせていただいています。
児童生徒数については様々意見をいただいているところではございますが、基本的には国の基準に基づいた学級編制をしているところです。これについては様々な意見を受け止めながら、子どもたちにとってどういった環境がいいのかということを、市として検討していきたいと思っております。
【会長】
ただ今いただいた意見については教育委員会で今後判断していただくということになろうかと思います。ありがとうございました。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
校長という立場から、児童生徒数というのは、毎年自分の学校に何人入ってくるのかと、非常に気になる数字です。
まさにこのような資料を提示していただいて、感じていた通り確実に減っていくのだなと思いましたし、減少傾向がよくわかりました。
今後、義務教育学校を作っていくときに、中学校区9学年がすべて1クラスという学校もおそらく生まれるのだろうなというのは容易に想像がつくところです。
しかし、よく考えてみると、1つの中学校に2つの小学校という「1中2小」よりも、義務教育学校として1つにすることで、クラスは各学年減ったとしても、1年生から9年生までのこの9学年の縦の繋がりというものは広がるのだろうなとも思いました。たくさんの仲間や多様な人と関わり合えるという意味でも、そういう機会を保障するという意味でも、義務教育学校になる意義をイメージすることができました。
また、今後の人口推移については引き続き注視していただきながら、市の方針を検討していただきたいと感じました。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
私も児童生徒数の推移を見まして、多い学校と少ない学校の幅があり、今後もどんどん減っていくのだなということを感じました。
この児童生徒数についてですが、1学級の子どもの人数だけではなく、学校全体の人数が少ない方が、一人ひとりに応じたきめ細かい教育ができるよさがあるのではないかというとらえをされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、子どもの人数が少ないということは、子どもの多様な関わりが少なくなるということにもなります。
学級数についての話がありましたが、子どもの数が少なくなると学級数も少なくなり、その結果として学校に配置される教師の数も減ってしまうため、担任の先生以外の先生との交流の機会も減っていくということにも繋がります。結果として、多様な他者と交流する機会が減ってしまうのではないかという心配もあります。
また、子どもの人数が少なくなると、すべての学年が1学級になってしまう、もしくは、複数の学級があったとしても1クラス当たりの人数が少なくなってしまうため、人間関係が固定化する可能性もあります。
これから社会がますます多様化していくことが予想されます。子どもたち一人一人の資質・能力の育成だけではなく、市民性や社会性の涵養も欠かすことができません。そのため、多様な大人や子どもと関わることができる教育環境をつくるということは大切だと考えています。
【会長】
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
今回、児童生徒数の推移を出していただきましたが、それは今後義務教育学校を進めていく中で、こういう人数構成が一番効果を期待できるというねらいや想定があるのかなと思います。
効果的な1学年のクラス数について、市がどのように考えられておられるのか、もし想定があるのであればお答えいただけたらと思います。
【事務局】
先ほどの審議の中にもございましたが、望ましい学級数について、単学級であれば人間関係が固定化してしまうと国の方では指摘されています。ただ、一方ではきめ細かな指導もできるという、メリットとデメリットはあると思っています。
義務教育学校を設置するということを考えたときに、高槻市内の様々な規模がありますので、その点も踏まえて、今後検討をする必要があると思っております。
やはり単学級では、人間関係の固定化に繋がってしまうということも言われておりますので、子どもたちにとって望ましい教育環境というのはどのようなものかということを、この審議の中でもまとめていく必要があると考えているところです。
【会長】
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
中学校区の児童生徒数の推移として、5年先のことが示されておりますが、これはすごく重要で判断を誤ると大変なことになると思います。私の学校も開校当初から比べると生徒数が3倍ほどに増加しています。
適正規模というものはなかなか決められないとは思いますが、あまり多すぎると、きめ細かな学習指導や9学年全体で活動していくときに、その人数の多さが障壁となり、なかなかスムーズに進められないということもあります。
この推移を見ていますと、少子化ということもあり、多くて各学年2学級ぐらいかと見受けられますが、私も2学級ぐらいが適正かなと思っています。その方が小と中の連携をもう少し緊密に取れるのではないかなと思っています。
【会長】
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
今日の7ページ目の資料は、なるほどこうなっているのかという驚きを持って受けとめました。令和11年度の推計値で申し上げますと、一番大きな校区と一番小さな校区では、大体2000人ぐらいの違いがあるかと思います。
私も所属している学部が大学の中では非常に小さい学部でございまして、そういうところですと、きめ細かいということはもちろんありますが、他方で、校務分掌や委員会の数は変わらないということがあり、1人当たりで持つ委員会の数が増えるという状況にもなっていたりします。
その点で、例えば、単学級だけれども小学校独立でクラスを編制している、つまり6学年あるというのと、義務教育学校であれば9学年あるというのでは、先生の数も増えられるでしょうし、絶対学校に置かないといけないという校務分掌は、どこもおありだと思いますので、その辺の先生方の負担が、多少なりとも軽減されるということ、特に子どもたちに向き合う時間がここで割かれてしまうということは非常にもったいないことだと思いますので、そういう意味でも、9学年で編制できるというのはメリットがあるのかなと思いました。
他方で、やはり2000人っていうのは、なかなか大きな差でございまして、将来的に高槻市内の様々なところで義務教育学校を展開していくことを考えると、まだ大規模になりそうな校区と、中規模になりそうな校区と、小規模になりそうな校区では、それぞれの雰囲気や教育のやり方、学校運営のあり方などはどう考えても同じにはならないと思います。
例えば400人とか500人、仮に1000人ぐらいが適正だという話になって、1000人に揃えましょうと言っても、それぞれの学校が歴史を持ってずっとやってこられていて、それぞれ校区もお持ちだという中で、校区編成を変えましょうと言っても、そう簡単な話ではないと思います。
やはりそれぞれの規模感、「大小」や「大中小」などのいくつかの規模に応じた義務教育学校のあり方も検討しておかないと、これほど大きな差が出ているという状況ですので、そのような議論もあったほうがいいかなと思いました。
【会長】
ありがとうございます。大規模校と小規模校との特徴の整理が必要ではないかというようなご意見がございました。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【副会長】
予想とはいえ、こうやって実際に子どもの数の推移を見せていただくと、現実的な問題も浮き上がってくるのではと思っています。
子どもが少ない学校であれば、各学年1クラスずつとなると、違う集団というのは異学年になっていきます。そのようなことも踏まえると、今おっしゃっていたように、大規模、中規模、小規模とそれぞれの場合に応じて、どう展開していけばよいのかということが、やはり中心の課題になっていくと思います。
最終的にすべての中学校区でやっていきましょうということであるとするならば、1校目はどこに照準を当てるのか、中規模から始めて大規模や小規模に、いや、小規模から始めて大規模に、或いは大規模から始めて次は小規模に展開するというような、何か見通しも持っていきながら、最初はどこに照準を当てていけばよいかということも考えの中にはあってもよいのではないかなと思います。
また、これから先、学校規模が流動的なものになっていくのだろうと思います。今、この人数だけれどもまだもっと減ることも考えられます。
そのようなことも踏まえて、非常に難しいところでありますが、やはり、どの辺りを適正規模と考えて、照準をどこに当てて、どんな教育をしていくのかということは、こういう学校規模を考えるのに大事なことなのではないかなと思いました。
【委員】
先ほど言われていたように、実際作った後に児童生徒数が爆発的に増加するという状況もあるということを考えますと、学校の人数を想定しても、どうしても上振れするとか下振れするということがあるのだろうなと思います。
そのような点でも、やはり様々な規模に応じた教育のあり方というものをしっかりと検討しておけると、学校が大きくなっても、小さくなっても、検討したものを活用、参考にできるのではないかなと思いますので、そのような幅を持って検討できるといいのかなと思います。
【会長】
続きまして、スライドでいきますと、9ページ、10ページ、まさに子どもたちの安全というところにダイレクトに関わってきます通学距離等の地理的環境についてです。
ご意見やご感想等がございましたら、委員の皆様よろしくお願いいたします。
【委員】
今の段階ではなかなか具体的な話というのは難しいかと思いますが、どの中学校区に設置されるとしても、通学路の安全性を保障する市の取組はぜひ継続していただきたいと思っています。
学校としてできることは、現在行っている安全教育や、通学指導を着実に行うことではないかと思います。
先ほどの資料にもあった「校区安全マップ」「たかつき安全NOTE」のような教材を活用した学習を教育課程の中に位置付けて、各教科の学習と関連付けて安全について学ぶ機会を充実させているところです。
通学路の安全指導を起点にして、9年間を見通した安全教育を展開していけたらいいなと感じました。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
公立の幼稚園は基本的には保護者が送迎しますが、民間の幼稚園、保育所、認定子ども園はバスが家の前から出て園まで送迎しているところもあり、子どもたちの交通ルールを守って歩く機会がすごく減っていると感じます。
園外保育に出ても、道を渡るとか、どういうルートで歩くのが最善なのかとか、そのようなことも一つ一つ丁寧に伝えていかないと、自分で自分の身を守れない子どもたちがすごく多くなっていくことを心配しています。
現在もセーフティボランティアさんが要所に立ち、子どもたちに声をかけ安全を確保してくださっていますが、それだけではなく、やはり就学前から、通学指導、交通ルールなども身につけること、また、低学年の子どもたちがランドセルを背負って2キロ歩けるのかなと感じますので、歩く体力をつけることなどは就学前施設も心して取り組んでいきたいなと思っています。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
国の法律などでこのような基準が示されているということですが、小学1年生から中学3年生までという幅があります。特に都会の場合、小学1年生にとってこの基準がどうなのかと疑問に思います。
国道171号線の横断など、非常に危険なところをどうするか。これは通学だけではなく、放課後の子どもたちが、例えば、陸橋を通るのを守るのかどうか。守らないことで事故が起きやすくなるなど、様々な面も考えていかないといけないと思います。
それから、通学路が変わることによって、車の時間規制が生じるかもしれません。時間規制が生じると、今まで通れていた車が通れなくなり、朝の短い時間帯の中で、地域住民の方がものすごく遠回りをしないといけなくなるという問題が今でも起こっています。
一日規制のところでも警察が通行許可をほとんど出しません。むしろ、そのような規制をなくしたいという警察の姿勢があると聞きました。
そういったことも踏まえて、十分連携を取りながら対処していかないと、なかなか理解を得られない難しい問題になるのではないかとすごく危惧しています。
それから地域の拠点という話になりますが、高齢化しています。だから、拠点が遠くなれば地域の拠点として活動するにも、行きたくても行けないという人が出てきます。だから、その辺をどうしていくのかということも検討課題として考えないといけないと思っております。
【会長】
ありがとうございました。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
私は第八中学校区在住です。あの辺りは少し特殊で、奥坂小学校、第八中学校、高槻北高校が道一本を隔てて隣接しています。私の子どもも小学校から高校まで12年通ったので、かなり急な道を一生懸命登っていました。私もPTAをやっていたので、毎回ハアハア言いながら登っていた記憶があります。
そこで問題があったのは、高槻北高生は結構自転車通学されています。行きはいいのですが、帰りは自転車なので、ものすごいスピードで坂を降りてきます。小学生、中学生と接触ということもたびたび耳にしました。また、朝出勤するときに、自転車がいっぱい通っているので車を出せないということで、自治会の方からお叱りを受けた記憶があります。
では、どうしたらいいのかというのはなかなか難しいところで、その当時の校長先生が、自分達が大丈夫なスピードを調べてみなさいと生徒に投げかけました。
その結果、周りの大人が大丈夫かなと思うスピードと比較すると、やはり若いのでしょう、高校生のスピードの方が遥かに速かったのです。それをまともに小学生が受けてしまったら大事故になりますので、非常に怖いなと思いました。
また、人との接触だけではなく、車との接触というのも、数件聞いたことあります。保険はどうなっているのかという話までなっていました。
他にも、PTAとして保護者で夏休み前に通学路を全部チェックします。「ここは危ない、ここは危ない」とチェックします。そして、教育委員会の方で対応できるものありますが、それ以外に「ここへ信号機立てて欲しい。信号機がないから小学生が危ない」という要望がありました。ただそうなると、警察関係の案件になってしまうため頓挫してしまいました。
また、横断歩道が古いため白線が消えていることがあります。しっかり塗っておかないと、自転車が坂から下りてきたときや車が来たときにわかりにくいということで、何ヶ所か塗り直していただいた記憶があります。
だから、子ども達もそうですが、周りの地域の大人がしっかり考えてあげないといけないと思います。子どもですから、なかなかそこまで視点が広がらないし、特に小学生なんか背が低く見える範囲も違うため、その辺りも考慮しなければならないと思いました。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
先ほどの意見に関係するかと思いますが、私もセーフティボランティアをしています。
それで、登校時の子どもの様子を見てみますと、やはり視野が狭いです。自分の行くところしか見ていなくて、自転車とか車、オートバイが来ていても、相手が避けてくれるだろうというように歩いています。
これから新しく通学路を選定する際には、やはり学校だけではなく、それを見守る地域の方の援助が必要だと思います。特に、セーフティボランティアの数がどんどん減っていきますので、ここは危ないという箇所に配置できず、危ない目に遭った子どももたくさんいるかと思います。
また、通学路の選定の際には、大体10分から15分で行ける範囲などと、地図上だけで決めてしまうと、どうしても危険箇所を見落としがちになってしまいます。そのため実際に選定する際には、地域の方の意見を聞き、実際歩いてみて、選定していくことが大事ではないかと思います。
【会長】
ありがとうございました。スライドの10ページにも、通学距離の観点に加えて、危険箇所の対応等による安全性の確保が重要とありますが、やはり地域の方々の意見をきっちりと吸い上げておくということが重要ではないかという意見が皆様から出ております。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
一般の市バスを使ったバス通学が1.9キロを超えていたら認められるという話を聞いたことがありますが、今もそれは変わらないのでしょうか。
実は、高槻駅前のジオタワーが建設されたときに、「1年生がランドセルを背負って通学するのは大変なので、市バスを使ってはいけないだろうかと教育委員会に尋ねたら、OKが出たのでバス通学します」という連絡が保護者の方からありました。今もそれは変わらないのでしょうか。
資料に「平均2キロ」と書かれていますが、その制度が変わっていないのであれば、市バスを使っての通学を希望する保護者も出てくるのではないかと思います。
逆に言うと、道中の安全面が確保されます。誘拐や事故から防ぐことができるということで、バス通学を選択される保護者もいらっしゃるかなと思います。
【会長】
ちなみにそれはいつぐらいのお話でしたか。
【委員】
10年ほど前です。
【事務局】
現在も「遠距離通学の補助制度」という制度がございます。片道が2キロ以上で、市バスなどの公共交通機関を利用されている児童生徒を対象に、定期代の一部を補助するという制度となっております。
具体的な学校名で言いますと、小学校は北清水小学校、南平台小学校の2校に対象の児童がおられ、中学校では先ほど説明のあった山間部の第九中学校、阿武野中学校と第二中学校の3校が対象となっております。
【委員】
それは補助金が出るという場合の基準でしょうか。
【事務局】
その通りです。
【委員】
補助金はいらないのでバスで通学させたいという場合のことも考えておかないといけないと思います。
【会長】
それは今ご回答するのは難しいですよね。そういう声があるということでまたご検討をお願いいたします。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
交通指導員について、教育委員会と話をしていましたが、過去にPTAが地区委員という形で人員確保をして、委員選出を行い、その方たちが月に1回程度4月から通学路に立っていただくというものが通例でありました。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、ここ数年、ネットニュースなどでもPTAのどちらかというとネガティブな話が掲載されていることが多いです。高槻市の中でも休会を宣言されたところや、PTA自体を解体というか、活動がないところがちらほら出てきている現状であります。
そのような中で、通学の見守りの協力ができないというところが幾つも出てきて、相談も受けました。その問題をどうするか、教育委員会の学校安全課と相談させていただきました。
PTAはやはり単年度なので、今まで自分たちがやってきたのが、どこからの依頼で、どういう立ち位置でやっているのかということはそこまで理解されていませんでした。交通指導員の選出についてPTAはあくまで依頼を受けている側であるため、「じゃあ、やらなくてもいいんや」となった部分があると思います。
「絶対選ばないとあかん」という意識だけで選任している場合が多くありましたが、現状は希望者だけでやっているところもありますし、引き続き募集してやっているとこもありますし、もうやってないところもあります。
働き方や家庭環境が変わってきたということも大きな要因ではあるので、絶対に埋めないといけないということではありません。しかし、PTA活動を縮小し、機能していないような状態のところが複数出てきている今、義務教育学校を進めていく中で、新たな通学路を選定する際に、従来のPTAに協力していただいていた形でやっていくことが不可能なところが幾つも出てくるだろうと考えられます。
学校安全課を含めて教育委員会とは、今後どういう形で募集していくかということは考えていかないといけません。
保護者はもちろん無関係ではありませんが、やはりPTAに対するアレルギーがあるようなところが多々ありますので、違うアプローチで人員を確保していく必要があります。
また、セーフティボランティアのお話が出ていましたが、減っているというか、増えておらず、高齢化により今の方々が辞めれば穴が空いてしまうということが起きています。
僕も保護者の一人でもあるため、声掛けをしながら希望者を募って、少しずつ増やしているところではありますが、やはり何かしらの仕組み作っていきながら、交通指導をする人員を確保していくということを、少し長い目で見ながら、とはいえ、早急に取りかかっていくような必要がやっぱりあるのではないかなと思っています。
そういった課題が今もありますし、今後、校区が変わったときに、引き続き関わりを持っていただける方も多数いらっしゃいますが、新たに交通指導員をどうやって確保していくのかということを考えていかないといけないと思いますので、一緒に考えていけたらなと思っています。
【会長】
ありがとうございました。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
私は生まれも育ちも高槻で集団登校という経験がありませんでしたが、妻は高槻の出身ではなかったので、1年生から6年生まで集団登校をしていた経験があり、班長旗というものを持つことに憧れがあったという話を聞きました。やはり子どもの好奇心にアプローチをして子どもたち自身で安全を守ってもらうことは大切だと思います。
通学路のことを一番よく知っているのは子どもたちです。また、セーフティボランティアの減少はどうしても避けられない社会状況であると思うので、子どもたち自身がセーフティボランティアではありませんが、集団登校することによって生まれる新しい安全意識もあるのではないかと感じています。
私の長女が小学生のときに、集団登校が月に1回ぐらいあったと思いますが、やはり家庭的に負担であるため、やめたという記憶があります。ただ、そのときよりも連絡手段は多様化しているので、そのあたりも駆使しながら、子どもたちと一緒に安全を作り上げていくというのも一つの手立てだと思います。
9年間ということを考えれば、9年生が1年生を見るという、おそらく見たい年頃、見たい生徒が多いであろうと思われるので、その辺りも含めて新しい通学の仕方、システムづくりもいいかなと感じております。
【会長】
ありがとうございました。
通学距離に関して様々なご意見がありました。具体的な対応は、設置される校区が決まって以降にはなりますが、考えていかなければいけない課題が多くあると思っています。
それでは続きまして、「学校施設の現状」を議題とします。これはそのあとの「地域の防災拠点としての機能」に重なる部分もかなりあると思いますので、まとめてご意見をいただきたいと思います。
それではご意見、ご感想等をいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
【委員】
どの学校も5、6年前かと思いますが、耐震化に向けて学校の校舎に支柱がたくさん入りました。高槻市はしっかりと子どもの安全、保護者の安全を保障してくれているのだなと思っておりました。
それを考えると、校舎は安全であるので、義務教育学校設置の選考をする上で、施設の新しさや古さの観点については、あまり優先度は高くないのかなと思っています。
また、施設面における多様な子どもへの配慮については、部分的に取り入れることで実現できるものではあるかと思います。ただ、部分的に取り入れるよりも、新しい教育観が校舎全体から感じ取れて広まっていくことがより良い環境かと思います。私たちが視察に行きましたところもそうでした。ぜひ、予算の許す限りではありますが、高槻市も新設の義務教育学校があればと望んでおります。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
資料の14ページを見ておりました。「量的設備」から「令和時代の学校の施設整備」の箇所を見ていると、昭和40年代から令和にかけて社会が大きく変わってきているなと改めて実感したところです。そのような中、子どもたちの学び方のあり方や、子どもたちに求められる力というものも随分変化してきています。
今も、これからも、教師が子どもたちに言葉で説明をするという機会は教育にとってはとても大事なことですが、学び手である子どもたちを主体と考えたときに、教師が説明する以外の多様な学習形態の工夫というのも必要になります。
この資料に学習空間の例がたくさん出ていますが、子どもたちの豊かな表現や、そういった機会を生み出せる環境として、こんなところがあればいいなととても魅力を感じました。
先ほどお話しした、多様な他者と関わる機会として、異年齢や地域の方との交流を考えたときに、こういう学習空間があれば子どもたちの可能性を広げる学習活動に繋げられるのではないかと思います。
こうした学習空間を共有することで、教師からの一方向の伝達の授業、「チョーク&トーク」と言っていますが、そのような授業や、教師の板書を子どもがノートに写して、それを教師が説明するといった古い教育観が随分変わっている、変化しているということを大人も子どももお互いに感じ取ることができるのではないかと思います。
そのため、このような環境をつくるということは大切なのではないかと思いました。
【会長】
ありがとうございます。学校施設を通じて、大人も子どもも教育観の変化が感じられるような環境づくりが必要ではないかというご意見でした。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
私は高槻の出身ではないので高槻の学校で学んだことはありませんが、高槻の学校にお邪魔する機会は何度かありまして、どこの学校に行っても、「直方体だな」と思います。
35万人都市の学校として、味気がないというか、のっぺりした建物がどんどん建っているというのが高槻の建物だなと思います。まず、庇がありません。だからきっと雨も入り込むのだろうなどと思って見ています。
そういう意味でもやはり物理的な制約がなかなか大きいと思います。片方に廊下が寄っていて、教室が同じぐらいのサイズでどこも区切られているような学校がほとんどなので、他の委員の先生方言われているような「新しい学び」というのはすごく展開しづらいと思います。
結果的に先生が前に立って、黒板があって、というような学び方になってしまうと思いますので、そういう意味でも、もう少し物理的な制約から解放されるような施設があると、子どもたちが得られる学びの幅も広がっていくのかなと思います。
私立学校であれば、もうそういった環境がどんどん広がっている中で、公立の学校に行く子どもたちであっても、素敵な学習環境があるということは非常に大事なことだと思いますし、高槻市としても立派な学校がたくさんあると誇れるということも非常に大事なことではないかなと思います。
昭和40年代の学校、50歳を迎えそうな学校がたくさんあるという状況なので、お金のかかる話なので簡単ではないと思いますが、素敵な、物理的な制約を解放できるようなものができるといいなと思いました。
【会長】
ありがとうございます。「脱直方体」ということで、うちの大学は総持寺にありますが「ノアの方舟」みたいになって、完全にそういうところから解き放たれているように思います。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
やはり私たちは与えられた環境でどれだけいい教育をしていくかということを考えないといけません。「あれも欲しい、これも欲しい」と言っていたらキリがありません。「ノアの方舟」がいいとか、そんなことはやはり言えません。
与えられた環境でどれだけいい授業をしていくか、どれだけ指導していくかという、教職員の資質を磨くという意味で、やはり校長の役割というものは大きいと思っていますし、学校に課せられた課題だと思っています。
そういう意味で、この義務教育学校というものは、校舎はともかく仕組みとして、人と人が繋がり、多様性の中で子どもたちを育んでいくという意味においても、非常に可能性のあるスタイルなのだろうなと思います。校舎がどうだなんて関係ない、中身で勝負だと校長としては思っていました。
そう思っていたのですが、視察に行かせていただいて、気持ちがぐらぐらっとしました。
やはり施設も大事だなと正直感じました。人と人を繋げる仕掛けがちゃんと施設にある。良い授業をするためのちょっとした間取りであるというのは、今日示していただいた資料にもたくさん含まれています。やはり、そういった施設を整備することで、可能になっていく、さらに可能性が広がるということもあるのだなということを勉強させていただきました。
あまり、施設、施設とは言ってはいけない、中身で勝負していく立場ではありますが、許す限りで予算をかけていただけたらなと思うところです。
ただ、防災ということで一つ思うことは、学校の数がもし減りますと、地域の避難所も、数も変動してきます。緊急時の指定の避難場所ということもしっかりと整理していただきながら、もし新しく建てることになった場合、この義務教育学校における防災の仕組みということも視野に入れて考えていただけたらなと思っています。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
今ちょうど防災の話が出まして、先ほど会長から、地域の防災拠点としての話も合わせてということですので少しお話をしたいなと思います。
先ほどご指摘あったように、学校の数が減るということは、避難所の数が減るかもしれないという可能性もあるかなと思います。その点では、各学校でのスペースといいますか、「いざとなればここをどうぞ使いましょう、使ってください」というところをしっかり確保していくことが必要なのかなと思います。
やはり、学校という機能のみならず、地域の一つの拠点という観点が大事だと思います。視察させていただいたところは、学校に隣接しているほぼ学校の一部のような形で公共の施設としての機能を持っていました。どんなものがいいかというのは、もちろん検討していかないといけませんが、多様な方々が学校を核として関われる、1年生から9年生までの9年間ももちろんですが、それ以外のときであっても多様な人が関われる、使える、利用できるというのは非常に大事ではないかなと思いました。
「なるほどな」と思ったのですが、家族に発達障がいを抱えている方がいる学生がおりまして、その学生が災害のときの避難の問題を調べました。やはり環境が大きく変わるということは、避難を非常に難しくする要因だということがわかりました。
「避難ですよ」といっても、これまで行ったことがないところに避難できるかというと難しい方もたくさんいらっしゃいます。そういった点でも、日常的に「どうぞ使ってください」という場所になっているということは、本当の意味でのインクルージョンを進めていくという点でも非常に大事ではないかなと思います。「環境が大きく変わると災害避難できません」という方が一定数いらっしゃるという観点からも、日常的に閉じていないということは、非常に重要ではないかなと思います。
ぜひ、防災を考えていく上では単なる学校ではなく、地域の一つの中核となるような、そんな施設として構想されると、いろんな人にとって、できてよかったなという施設になるのではないかなと思いました。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【副会長】
新しく建て替えた綺麗な学校というのはすごく魅力的な話だろうと思います。今の審議をずっと聞いていて、いらないことを言うようですが、跡地の利用というものも、目を向けていく必要があるのかなと思います。それは防災の意味でも、或いは、地域の活動などの様々な形でそこに集まる機会があったとしたら、それをどう扱っていくのかということも含め、セットで考えていく必要もあるのかなと思いました。
また、資料36ページの写真ですが、前回の豊中の学校で見た、学校に隣接するところに複合施設があり、非常に魅力を感じました。こういったところがあれば、地域の活性化にも繋がっていき、学校教育がどんどん広がっていって地域のものになっていくという一つのきっかけにはなるのではないかなと思います。要するに、人が集まる場所だということに変わりはないということです。
自分の勤務している大学では、子ども絵本館という施設があり、その絵本館の中には7000冊の絵本が蔵書としてあります。そこで何をしているのかというと、学生が認定絵本士という資格を取る授業もします。子どもたちに読み聞かせもします。絵本の選定もします。地域の方を呼んで、或いは、幼稚園の方が来てということで、地域貢献もしていくという大きな役割があるわけです。そこも言ってみたら、人の集まる場所として、学校の中で地域貢献に役立っていると思います。
先ほどの資料のように、公共の施設が連携しながら学校が発展しているという例は全国的にも大いにあろうかと思いますが、本当にそれが機能をしているという例も、ご存じであれば教えていただけてもいいかなと思いました。
【会長】
ありがとうございます。複合施設と連携をした教育活動の事例などがあれば、今後教えていただければと思います。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
防災の話について、特に高槻の場合は、水害の際は使えないという小学校、中学校がたくさんあります。せっかく義務教育学校を建てるのであれば、どう対応できるのかということも踏まえた設計があると非常にいいと思います。
今は淀川が氾濫した場合はバスで送るとか、いろんなことを考えていますが、誰が考えても実際に無理だろうなというのが、現実にあります。
それでは、やはり上に避難できると非常にありがたいです。実際に訓練をしていた際に、意見として聞きますし、実感としてもあります。なかなかこの辺は危機管理室の関係もあるので難しいでしょうが、そういうことも踏まえながら設計を考えていただくと、将来的にありがたいと思っております。
【蛭田会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
学習空間の観点からお願いしたいことがあります。今、就学前施設もそうですが、やはり支援を必要とするお子さんがすごく増えています。
資料の17ページにあるような、とても広い空間で、いろんなところでいろいろなことが一度に起こるということは、支援が必要なお子さんたちにとっては、混乱を起こしてしまうのではないかと危惧しています。
確かに、大人からしたらすごく開放的で魅力的で、何か気持ちも晴れやかに、晴れ晴れと学習できる、開放された気持ちになるという思いは私も一緒ですが、支援を必要とするお子さんが確実に年々増えている中で、すべての空間が広いと安心して学校生活を送れないのではないかという不安も生じています。
そのため、視察した豊中の施設のように、空間も多様化してほしいと思います。狭い空間や、落ちつける、クールダウンできる空間があるといいと思います。一つの教室から幾つかの空間に分けることができるような工夫をしていただき、どのお子さんも安心して9年間通うことができ、一日を過ごせるという空間があるとありがたいなと思っています。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
設備のことについて、可変的なものを作ろうとすると、最初にいた人はそれをどう使うか、理解をされて丁寧に使われるかなと思いますが、使い方がわかってないところで、ぐいっと思いっきりやってしまって壊すということが、子どもたちが使うという前提ではそういうことがよくあると思います。
そのため、今どきで言うと、1人1台端末を持っているということで、例えば2次元コードを貼って使い方を見ることができる、どういう使い方をするかは説明書を見なくてもわかる映像が見られる、もしくは思い切って使い方を字で書いてあってもわかりやすいのかなと思います。
良いものを作ったとしてもどうやって使えばいいかわからなくなったというのが一番もったいないことに繋がってしまうと思います。
可変的な部屋、もしくは空間を作るにあたっては、もちろん更新しないといけない時期が来るのかもしれませんが、その時にはその時なりの更新ができるような形で設計されればいいかなと思っております。
【会長】
ありがとうございます。
他の委員の方、いかがでしょうか。
【委員】
仕事柄、川崎の方で小中一貫校の義務教育学校を改修するという業務に関わっています。この資料にも載っていた学校でした。
改修というかエアコンの更新ですが、非常にデザイン性が高くて、最初はいいのですが、更新を全く考えてないことによって、エアコンの更新をする際に費用もかかり、一回ばらしてからしか中に入れないということが発生しています。「絶対、後のこと考えてないやろ」というような設計をされていまして、すごく困っております。
デザイン的にはすごく画期的で、かっこいいものということで新築当時はよかったのでしょうけれど、やはりメンテナンス等を考えた、維持管理をしっかりしやすい観点で設計しないと、いざ更新となったときに、そういう問題が起きるっていうのは絶対想定されていないような形で設計されていたので、その辺の観点は必要だと思います。
デザイン性ももちろん必要ですが、維持管理や利便性といった様々な観点から考えていただく必要があると思います。
また、PTAの会長をやっている中で、やはりこの義務教育学校に対しての注目が非常に高いです。PTA会長宛にお手紙いただくこともありました。
お手紙の内容を拝見すると、やはり皆さん不安を抱えています。既存の学校をどうするのかというお話が先ほどもありましたが、やはり地域にとって有益なものであるという大前提のもとで、義務教育学校を作ることで、マイナスに走るようなものがあるのではないかという観点や危機感というものを持たれています。「あれをどうするんだ、これをどうするんだ」といった話も出てくると思います。既存の建物の利用や公共施設に関わる部分、通学路の話ももちろんですが、様々な課題が出てくると思います。
例えばですが、他の自治体での事例をお示しいただく、高槻市バージョンでいいと思うので、選択肢をイメージできるような資料をご提供いただくことで、否定的な意見を持たれる方にも、何かしらポジティブなイメージが生まれてくることがあるのではないかなと思います。
「こういうネガティブなことがあるから、やめる方向で」というご意見をいただきます。最終的には進めていく中で地域の理解が一番大きなポイントにはなると思いますので、しっかりと合意形成していく過程として、そういう情報収集も含めてお示しいただけたらと思います。
【会長】
ありがとうございました。地域の皆さんが不安に思っている声が来ているということでした。今後、不安解消といいますか、デメリットをどう解消していくのか、そしてメリットをどのように伸ばしていくのかということを、我々の中でも共有していく必要があろうかと思っております。
今回学校施設に係る話題でしたが、次回できれば予想される設置形態につきまして、メリットとデメリットを比較して、望ましい設置形態についての意見を整理していきたいと思いますので、事務局の方で資料を作成していただけますでしょうか。
【事務局】
次回に向けて、資料を準備させていただきます。
【会長】
よろしくお願いいたします。メリット、デメリットだけではなく、こういうことが予想されるという、今出てきた意見を受けて考えていただければと思っております。
本当に皆さん、多数ご意見ありがとうございました。子どもにとっての安全・安心という前提で皆さんお話いただいたと思いますので、繰り返しになりますが、義務教育学校を設置する中学校区を選定する上で、今出された意見をぜひ参考にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
ここで一旦切らせていただきましてよろしいですか。まだ言い足りないというところがございましたらお願いします。
【委員】
重なるところですが、庄内さくら学園に視察したときに思いましたし、割と最近建て替えられた、近隣の吹田市にある府立高校でもそうですが、公立の学校は小学校も中学校も子どもたちが清掃しますよね。これは考えておかないといけないなと訪問して思いました。
やはり限られた時間の中で子どもたちが行うので、細かい箇所の清掃はできない部分もあります。先ほど委員のご指摘があったように、メンテナンスの問題、設備が壊れる原因にも繋がっているのだろうなと思います。
例えば、扉の溝などは清掃できていません。こういうところにどんどんゴミや埃が溜まっていって、コロが壊れて、無理に引っ張って扉が壊れるのだろうなと思って見ていました。
なかなか、子どもたちに限られた清掃用具で掃除しなさいと言っても、やはり難しいのだろうなと思いますので、子どもたちが清掃するという前提で、施設を設計する必要があると思います。空間もすごくおしゃれに作ると「そこはどうやって掃除するのか」という場所ができてしまうので、そういうところも考えておかないと、最初は良くても、数年したら「えらい汚いな」という感じになってしまうので、そういう観点も必要かなと思います。
メンテナンスはとても大事だと思います。作るのはすぐできますが、5年、10年経っても綺麗だと思えるように、公立の学校なので、子どもたちが清掃できるような作りを前提とすることが大事かなと思いました。
【会長】
ありがとうございます。他の委員の方、よろしいでしょうか。
それでは、議事2「次回の審議に向けて」に移らせていただいてよろしいでしょうか。
お手元にスケジュールがありますので、見ていただきたいと思いますが、第8回の学校教育審議会につきましては、スケジュールにもありますように、「答申策定に向けた提言整理」を内容として予定しております。これは第9回の審議会で答申の素案を、皆さんと共有するにあたって、これまでの委員の皆さんからの意見を振り返って答申に盛り込んでいきたい内容を議論していく想定をしておりました。
しかし、本日の審議の中でも、様々な意見が出されましたし、まだまだ私達も情報が必要な部分、また、それに基づいて議論が必要な部分もあるのではないかと考えております。
事務局に確認ですが、10回の枠組みで審議内容を計画して、11月には答申をまとめる想定で進めてきましたが、必ずしも11月に答申を出さなければいけないものでしょうか。
【事務局】
基本的には、このお示ししているスケジュールで進めていただくことを想定しているところではありますが、答申自体は市にとっても非常に重要なものとなりますので、議論が十分に尽くされないまま、まとめていくものではないと考えています。
そのため、この審議会で、委員の皆様には十分にご議論いただいた上で、教育委員会の諮問に対する答申をまとめていっていただけたらと考えております。
【会長】
今の状況で、もう少し情報や議論が必要ではないかと判断した場合は、まさに今おっしゃったように市全体にも直接影響する内容ですので、今日話題に上がってきた内容も踏まえて、第8回以降の進め方は改めて考えさせていただいてもよろしいでしょうか。
委員の皆さん、いかがですか。
(異議なし)
【会長】
それでは、スケジュールが変更になるかもしれませんが、その点よろしくお願いいたします。それでは、最後に事務局から連絡事項はございますでしょうか。
【事務局】
次回は、令和7年7月を予定しておりましたが、日程の調整が難航しており、8月以降にずれ込む可能性もございます。調整ができた段階で、すぐにご連絡させていただきます。
事務局からは以上です。
【会長】
それでは今後の内容につきましては、再度検討させていただくということで、本日の審議会については閉会といたします。
今日はいろいろご意見いただきましてありがとうございました。お疲れ様でした。