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27.動物の埴輪
今から約1,500年前の古墳時代、埋葬された有力者の安らかな眠りを保つため、さまざまな埴輪が古墳の周りに立て並べられました。とりわけモノの形をかたどった形象埴輪は、当時の人々の服装や髪形、道具、住居などを今に伝える一級の資料です。この中には動物の埴輪として、馬、猪、犬、鹿、牛、猿、ムササビなどの哺乳類に加えて、鶏、鴨、鵜、鷹などの鳥類や鮭や鯔(ボラ)などの魚類の埴輪もあります。一方で、弥生時代の銅鐸絵画にみられる爬虫類や両生類、昆虫などは存在しません。埴輪は当時の人々とつながりが深く、古墳での祭りにふさわしい動物が選ばれたものだと考えられます。
本市で見つかった埴輪には、古墳時代に海外からもたらされた動物の姿も。希少な動物を所有していたことを示す今城塚古墳の馬や牛の埴輪があります。特に牛の埴輪は全国でも10例程度しか確認されていない珍しいものです。さまざまな文物を手にした大王の墓ならではの埴輪といえます。
また、昼神車塚古墳の犬と猪の埴輪は、首輪をした2頭の猟犬に猪が前後から追い立てられて、牙をむいて威嚇するという狩りの一場面を表しています。動物との営みが表現されたものとして、今城塚古墳には、鷹狩りを表した鷹を腕に乗せる人物や鵜飼いを表した鵜の埴輪があります。また、家形埴輪の軒先にも水中で魚をついばむ鵜の姿が描かれています。
このように動物の埴輪は古くから続く人と動物の関わりを、私たちに教えてくれます。当時の人々が動物の特徴をどのように捉えていたのかにも注目し、本市の表現豊かな埴輪を鑑賞してみてください。
(埋蔵文化財調査センター)
犬と猪の埴輪(昼神車塚古墳)