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令和4年度第1回高槻市文化財保護審議会
1 会議の名称
令和4年度第1回高槻市文化財保護審議会
2 会議の開催状況
日時:令和4年7月11日(月曜日) 午前10時から午前11時40分
場所:高槻市総合センター 6階 C604会議室
出席委員:(五十音順)一瀬和夫委員、井上一稔委員、登谷伸宏委員、福田英人委員 計4名
3 議題
- 役員の選出について
- 令和3年度事業報告について
- 文化財保存活用地域計画について
- 報告
- その他
4 審議内容
開会に先立ち、部長から挨拶。出席された委員、並びに事務局の紹介。
委員6名中4名出席につき、高槻市文化財保護審議会規則第3条第2項の規定により、本審議会が成立していることを報告。
また傍聴希望者がないことを確認報告。
案件1
役員選出まで事務局で議事進行を行う。
高槻市文化財保護審議会規則第2条の規定に基づき、委員の互選により会長に井上一稔委員、副会長に一瀬和夫委員が選出された。以降の議事は会長により進行。
案件2
事務局より令和3年度事業報告について説明の上、以下の質疑応答後、了承された。
【委員】
文化財保存活用地域計画(素案)のパブリックコメントにおいて意見がでなかったとあるが、どういう方法で意見を募ったのか。周知は十分だったのか。
【事務局】
高槻市所定の方式に基づき、ホームページでの公開及び支所等での配架を1か月程行い、意見を募集した。募集方法については適切だったと考える。
【委員】
ハニワづくり及び七宝焼の体験教室の参加者数は入場者数と一致するのか。
【事務局】
一致する。参加者数は体験者及び保護者の合計数で、コロナ感染症対策のため、総人数が通常定員の半数を超えないように開催した。
【委員】
闘鶏山古墳(つげやまこふん)の調査手法、今後の計画についてはどうか。
【事務局】
まずは石槨内にカメラを挿入して撮影及び三次元計測を実施し、それによって得られたデータを元に調査手法を検討していく。
【委員】
闘鶏山古墳は重要な史跡である。近年は調査技術も様々な手法が進歩しているので、新しい手法も含めた多方面な方法を取り入れて欲しい。
【委員】
闘鶏山古墳が高槻の文化財関係の仕事のなかでも一番デリケートな仕事かと考える。全体的なスケジュールを今後提示いただきたい。
【委員】
あれだけの規模となると、市単独での調査はなかなか難しいのではないかと考えるので、大阪府や国、奈良文化財研究所などともっと積極的に協同する体制の構築を検討してもらいたい。
【委員】
石槨の覆い室内の状況に変化はないか。
【事務局】
古墳の発見以来、保存環境調査として石槨内の温湿度や酸素濃度などを定期的に観測しているが大きな変動はない。
【委員】
埋蔵文化財の届出件数はいくらか。
【事務局】
埋蔵文化財発掘の届出件数は100から130件位で推移している。このうち発掘調査を実施しているのは10から20件で、多くは工事立会で対応している。
【委員】
寄託された文化財の調査・公開状況はどうか。
【事務局】
目録化などの調査整理が終わったものについてはホームページで公開を行っているが、所蔵品を優先しており、数が膨大なため、まずは高槻藩や藩士に関するものから行い、今後徐々に範囲を広げていく。目録を公開しているので、閲覧希望があった場合は、個別に対応している。
案件3
事務局より文化財保存活用地域計画について説明の上、以下の質疑応答後、了承された。
【委員】
項番45「城下町らしい案内サインの再整備」に関し、サインの破損や経年劣化で文字が薄くなるとか、新旧のサインの混合で導線が上手く繋がらないという事態が発生すると不満が高まるので、統一したデザインを採用するなどルート全体で一体感をもたすよう意識してほしい。またQRコードもアプリがないと読み取れないとか、サインと距離があり読み取りに支障がでる場合もあるので、そういったことがないよう気を付けてほしい。
【事務局】
ご意見を元に、整備を進めていく。
【委員】
項番42「城下町らしいまちなみ景観への誘導」に関し、景観の規制やヒアリングはどういうことを行う予定か?景観の形成には所有者だけでなく地域住民の意識形成も大事なのでヒアリングの対象を拡大した方がいい。
【事務局】
ヒアリングに関しては、所有者に文化財の価値を知ってもらい維持していただくようお願いすることになる。その中で維持管理に困難を抱えている方に対しては、課題を洗い出し、行政としてできるアドバイスを行っていく。景観の規制に関しては主に他課が担当していく。ご意見を元に他課との連携を強化していく。
【委員】
項番41に関連して近世の町名はどれくらい残っているかの調査状況はどうか。旧町名がわかるサインや歴史的建造物等に案内をつけるなど、昔の街並みがわかるような保存活用の取組をしてほしい。
【事務局】
町名に関しては、区画が近世と現代では異なっているが、一部の地名は自治会等にわずかに残っている。ご意見は今後の整備の方針の参考にさせていただく。
【委員】
項番11に関連して埋蔵文化財の出土遺物の量はどれくらいか。学校の旧校舎の活用など10年20年先を見据えて保管場所の確保を計画されたほうがよい。
【事務局】
年によって遺物量は一定ではない。遺物コンテナに換算して少ない年は30から40、多い年は1,000箱に達することもある。ご意見については参考にさせていただく。
【委員】
項番37に関連して、ボランティアの現状はどうか。独立した団体なのか。
【事務局】
歴史と文化財をメインに活動しているボランティア団体となると、安満人倶楽部(あまんどくらぶ)と高槻市文化財スタッフの会の2つとなる。前者は安満遺跡中心、後者は約150名在籍しており、市内全域を活動範囲とし独自企画も行っている。学芸員が解説を行い、その後スタッフの会が史跡ツアーを開催するなどといった形で協力してもらっている。スタッフの会は、市が行う養成講座を受講してもらっているが、団体自体は15年程前にNPO法人となり、独自の会計を持っている。
【委員】
項番24に関連して水害に備えるために、ハザードマップに文化財の所在地を落とし込む作業を行った方がよい。また、無住のお寺の所在地の確認と事前に仏像の所持状況を確認できるようお堂内部の写真撮影を行うことで、万が一仏像の盗難にあった時に被害状況を確認できるようにした方がよい。
【事務局】
ご意見は参考にさせていただく。
【委員】
文化財課だけでなく他課とも連携して一体となって地域計画を推し進めてほしい。
【事務局】
今後、より一層連携を進めていく。
案件4
事務局より旧京都大学高槻農場の登録、芥川城跡の史跡指定の答申、神峯山寺(かぶさんじ)防災設備改修事業について報告。以下の意見や質疑応答後、了承された。
旧京都大学高槻農場について
【委員】
造詣の規範とは何を指すのか。
【事務局】
大正から昭和初期に流行していたスパニッシュ風建築の様式が見て取れることや学校施設の規範であることを指す。
芥川城跡について
【委員】
私有地であり山の中の遺跡でもあるため、不慣れな人には見学しづらいと思われる。初心者向けの現地案内ガイドやツアーなどを用意してはどうか。
【事務局】
検討する。
【委員】
今回史跡答申を受けた範囲は縄張りの全域なのか。
【事務局】
全域ではなく、土地所有者の同意を得られていないエリアもあるので、今後の追加指定を目指す。
【委員】
野生動物の被害や対策はあるか。
【事務局】
熊は確認していないが、イノシシとシカの生息域にあたる。特にイノシシは遺構を掘り返すことがあるので、ネットを敷くなど対応策を検討している。
【委員】
平地居館がないとされる根拠は何か。
【事務局】
城や三好氏について記述した古文書は多い中で、山上・山麓の使い分けや平地や山麓の居館について記述したものがない。また、山麓に居館伝承地や遺構がみられない。発掘調査によって確認した遺構・遺物の内容からも、平地居館ではなく山上で政務や生活をとっていたと考えられる。
神峯山寺防災設備改修事業について
【委員】
川の水量が減った原因は何か。
【事務局】
地震や同年の台風による多数の倒木等の影響と考えるが独自調査は行っていない。
【委員】
今後同様の問題を抱えている寺社に防火対策の支援を拡大していけたら良いと考えるが、状況はどうか。
【事務局】
国の補助金が出たとはいえ、所有者にかなりの自己負担を強いることになる。文化財を所有される寺社から希望があれば対応していきたい。
案件5
【事務局】
次回審議会は、令和5年2月ごろの予定である。
5 資料名
令和4年度第1回文化財保護審議会資料