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こんにちは、健康福祉部長の根尾です。
暦の上では大寒、一年で最も寒い時期です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今冬、全国また大阪府でもインフルエンザの患者報告数が過去最多になっています。
手洗い等の感染対策をして、元気に冬を過ごしましょう。
さて、先日、日本政府観光局から「2024年の訪日外客数」について、年間で3,600万人を突破し過去最多を記録したことが発表されました。この人数は、前年(2023年)比47パーセント増という大幅な増加で、これまで過去最高であった2019年を約500万人も上回るということです。市民の皆さんも、「外国からの観光客が多くなったな」と日常的に実感する場面が増えているのではないでしょうか。
インバウンドの増加により、賑わいや活気が増すと同時に、新たな感染症の発生にも注意をしていかなければなりません。
そこで、1月8日に高槻市保健所と大阪医科薬科大学病院の合同で、MERS等の感染症患者の発生を想定した訓練を実施しました。今回の訓練は、医療機関と連携した実地訓練で、市内や近隣市の医療機関からも多数参加していただきました。
その訓練の様子を皆さんにご紹介したいと思います。
新たな感染症が発生した際には、保健所と医療機関等の関係機関において、患者の症状等の必要な情報を、迅速かつ正確に情報共有することが重要で、患者の治療や感染拡大防止対策など、その後の適切な対応に繋がります。
今回の訓練では、高槻市保健所と大阪医科薬科大学病院が関係機関との情報伝達訓練や対応方針を検討する訓練を行い、参加者は、その様子をモニターで見学しました。
患者の移送には、周囲への感染を防ぐため、除菌装置に接続したアイソレータ(注1)を使用することがあります。今回の訓練では、実際にアイソレータを救急車に乗せて患者の移送を行い、アイソレータの取り扱い手順等の確認を行いました。
(注1)ストレッチャーの上にビニール製のカプセルを設置し、陰圧除菌装置に接続したもの。カプセル内は空気圧が低くなっていて、圧力の差で患者からの飛沫等がカプセルの外に漏れないようになっている。
移送後は、職員が身に着けていた個人防護具(注2)にウイルスを含んだ飛沫などが付着しています。脱ぐ時はそれに触れないように注意しながら慎重に行わなければいけないため、実は着る時よりも脱ぐ時の方が難しいのです。
そのため、日頃から繰り返し訓練を行うことが大切です。
(注2)ウイルス等を含んだ飛沫や体液が医療従事者に直接付着することを防ぐためのもの。主なものとしてガウン、マスク、フェイスシールド、エプロンなどがある。
消毒班がアイソレータのカプセルを消毒しているところです。次の使用に備え移送後すぐに消毒を実施します。
カプセルから順に、ストレッチャ―、除菌装置と上から下に一方向に拭き取ることを意識しながら実施することが大切です。
今回の訓練は、多数の医療関係者に参加や見学をしていただきました。参加者からは、「感染症患者の対応に必要な技術の習得や役割分担、流れを改めて確認をすることができた」「実際に訓練をしたことで、想定以上に移送の準備に時間がかかることや、医師や保健所職員など多くの関係者との連携が重要であることを再認識した。」「個人防護具の着脱訓練は自院でも継続しようと思う」「関係機関との連携強化を図ることができた」などの意見があり、非常に有意義な訓練になったことが伺えました。
今回、訓練の実施に際しご協力いただきました大阪医科薬科大学病院を始め関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症での対応を教訓に、新興感染症等が発生した時にはスムーズに対応できるよう、高槻市感染症予防計画等に基づき対策の強化を日頃から計画的に進めています。
新型コロナウイルス感染症のような感染症はいつ発生するのか予測がつかないものですが、市民の皆さんの命と健康を守るため、これからも地域の医療関係者と連携した訓練を継続し、地域医療全体の感染症対応力の向上に取り組んでいきたいと思います。
根尾 俊昭
1965年(昭和40年)、大阪府生まれ。2020年(令和2年)4月から現職。趣味はドラマ・映画鑑賞。