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令和6年第13回高槻市教育委員会定例会会議録
令和6年12月17日(火曜日)午後3時00分、令和6年第13回高槻市教育委員会定例会を教育委員会室に招集した。
出席者
西田 誠 教育長
岡本 華世 委員
美濃 律 委員
浦野 真彦 委員
松村 洋子 委員
出席した事務局職員の職、氏名
教育次長 青野 淳
教育次長代理 前迫 宏司
教育次長代理 杉野 暁子
教育政策推進官兼教育政策課長 藤田 卓也
教育指導課長 小寺 基之
教職員課長 武藤 亮
教育センター所長 山本由紀子
教育指導課主幹 西田 大世
教職員課主幹 尾崎 元
教育政策課課長代理 小澤 祐樹
教育指導課課長代理 直原 考志
教育センター所長代理 川端 清史
教育指導課副主幹 誠光 俊明
教育センター副主幹 北畑 謙一
教育センター副主幹 仙頭 義隆
教育政策課主査 菊川 雅也
教育政策課指導主事 村山 健
教育センター指導主事 木村 直也
教育センター指導主事 岸本 京子
教育政策課 土井 直人
教育政策課 小村 悠祐
議事日程
日程第 1 報告第8号 令和6年度中学生チャレンジテスト(3年生)の概要及び結果について
(午後3時00分開会)
西田誠教育長
ただいまから、令和6年第13回高槻市教育委員会定例会を開会いたします。
なお、本日の会議に傍聴の希望がございましたので、許可をいたしております。
本日の会議の出席者は、5名でございます。
なお、本日の会議の署名委員は、岡本委員 浦野委員にお願いいたします。
西田誠教育長
ここで、令和6年第12回定例会会議録の承認をお願いいたします。
会議録につきましては、事前に委員の皆様方にご確認いただいております。原案のとおり承認してご異議ございませんか。
(異議なし)
西田誠教育長
ご異議が無いようですので、会議録の承認につきましては、原案どおり承認されました。
西田誠教育長
それでは、議事に入ります。
日程第1、報告第8号、「令和6年度中学生チャレンジテスト(3年生)の概要及び結果について」を議題といたします。
提案理由の説明を求めます。
教育次長(青野淳) (提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第1、報告第8号「令和6年度中学生チャレンジテスト(3年生)の概要及び結果について」の報告につきまして、提案理由のご説明を申し上げます。
中学生チャレンジテストは、中学1・2年生は、平成26年度から、中学3年生は、平成28年度から実施しております。
今年度につきましては、9月3日(火曜日)、国語、社会、数学、理科及び英語の5教科と11項目の生徒アンケートを実施いたしました。
資料1枚目をご覧ください。
実施の目的ですが、3点ございます。
1点目は、大阪府教育委員会、市町村教育委員会及び学校が、生徒の学力の状況をつかむことで、教育の成果と課題を明らかにし、今後の教育にいかす。
2点目は、生徒が、自分の学習の到達状況を正しく知ることにより、自分の学力に目標を持ち、また、その向上への意欲を高める。
3点目は、大阪府教育委員会が、テスト結果を使って、大阪府公立高等学校入学者選抜の調査書に記載する評定が、公平性の高いものであるかどうかを確認する資料を作成し、市町村教育委員会と学校に提供することでございます。
なお、調査結果につきましては、10月下旬に各校に返却されています。
また、調査結果の公表につきましては、チャレンジテストの参加についてご審議いただいた際に、市全体の結果のみを公表し、学校別結果の公表は行わないこととご可決いただいております。
この決議をふまえ、市ホームページに今後掲載する予定でございます。
なお、結果等の詳細につきましては、教育センター所長より説明させていただきます。
以上、誠に簡単な説明ではございますが、よろしくお願い申し上げます。
教育センター所長(山本由紀子) (提案理由説明)
令和6年度中学生チャレンジテスト(3年生)の概要及び結果について説明させていただきます。
引き続き、資料をご覧ください。
市内全ての中学校3年生で実施いたしました、チャレンジテストの実施教科については、先ほど教育次長からの説明にありました通りですが、理科の調査につきましては、各学校の年間カリキュラムでの指導内容によって、A、B、Cの調査問題を各校が選択いたしました。
今回の本市の調査結果についてですが、配付しております資料1枚目下段にあります、「教科別・平均点比較(対大阪府)」の表をご覧ください。
全教科において、大阪府の平均点を上回る結果となりました。
続きまして、2枚目をご覧ください。
上段に国語の高槻市、大阪府の平均点と無解答率、度数分布を示しております。
次に、1.分類・区分別に対象設問数、配点、高槻市と大阪府の平均点を表でお示ししております。
中段、2.成果が見られた設問[三4]では、「新聞の下書き中の空欄に入れる言葉として適しているものを選択する」問題で、正答率が高く、文章の構成や役割を考えることができていると考えられます。
次に、3.課題が見られた設問[四5]では、「リハーサルで話した内容中の空欄に入る内容を条件にしたがって書く」という問題で、正答率が低くなっており、聞き手を意識し、自分の考えが明確に伝わるように話の構成を整理して考え書くことに課題が見られました。
授業改善のポイントとしましては、「書くこと」に関する授業においては、発達段階に応じて、「何のために」「何を」「どのように」書くのかを明確にすることが重要です。
また、「読むこと」と「書くこと」を関連付け、指導することが大切であると考えます。
続いて、社会科です。
成果が見られた設問[3(3)(3)]では、「ツバルが直面する環境問題について文章中に入ることばを選ぶ」問題で、正答率が高くなっており、環境問題の背景やその原因について理解できていると考えられます。
課題が見られた設問[2(3)(2)]では、「鎌倉幕府が開かれた12世紀後半から鎌倉幕府が滅んだ14世紀前半までの期間に起こったできごとを起こった順に並び変えたものを選ぶ」問題で、正答率が低くなっておりました。
鎌倉幕府が開かれていた期間に起こったできごとの流れを考察することに課題が見られました。
授業改善のポイントとしまして、昨年度に引き続き、歴史の大きな流れを、「各時代の特色を踏まえて理解すること」に課題が見られます。
各年代と出来事等の暗記だけでなく、社会の流れや背景まで理解することが大切であると考えます。
次に数学です。
成果が見られた設問[1(1)]では、基本的な四則計算として「12-2×(-6)を計算する」問題で、正答率が高くなっており、正の数と負の数の計算ができていると考えられます。
課題が見られた設問[3(5)]では、「2つの三角形の面積の大小関係について正しい記述を選ぶ」問題で、正答率が低くなっておりました。
平行四辺形の性質の理解に課題が見られました。
授業改善のポイントとしまして、面積の比較を具体的な場面で行うには、測定に頼らずに図形を論理的に考察することも重要です。授業場面において、既習事項を活用し、多様な解法で問題解決する力を養う場面設定が必要であると考えます。
次に理科です。
理科Aにおいて、成果が見られた設問[5A(2)]では、「沈んでいる物体の浮力の大きさと重力の大きさの関係を選ぶ」問題で、正答率が高くなっており、水中に沈んでいる状態における、浮力と重力の関係について理解できていると考えらます。
課題が見られた設問は、[4(2)(1)]で、「溶解度曲線をもとに、水溶液に溶けている物質を特定するための実験の条件と結果の見通しの組み合わせをすべて選ぶ」問題で、正答率が低くなっておりました。
溶解度曲線をもとに、目的を達成するための実験の計画と結果の見通しを立てることに課題が見られました。
次に理科Cにおいては[5C(2)(1)]で、「分裂している途中の細胞に見られるひものような形をした、酢酸オルセイン液によく染まるものの名前を選ぶ」問題で、正答率が高くなっており、染色体について理解できていると考えられます。課題が見られた設問は、先ほどと同様の問題でした。
授業改善のポイントとしまして、既習学年(小学校第5学年)の内容を踏まえ、水溶液から溶質を取り出す実験を行い、その結果を溶解度と関連付けて理解できるように場面設定するなど工夫が必要であると考えます。
次に英語です。
成果が見られた設問[2(1)]では、「会話を聞いて、『マキのお兄さんはどれくらいの間先生をしていますか』という質問に対する適切な答えを選ぶ」問題で、正答率が高くなっており、日常的な話題についてのまとまった会話文を聞き、話の概要を捉えて、内容の要点を適切に把握できていると考えられます。
課題が見られた設問[8(4)]では、「スピーチ原稿とグラフを読み、スピーチ原稿やグラフの内容と合う英文を選ぶ」問題で正答率が低くなっておりました。
日常的な話題について、英文とグラフとの関係を正確に読み取り、説明文の概要を捉える問題に課題が見られました。
授業改善のポイントとしましては、個々の詳細な情報にとらわれることなく全体を捉えるために、接続詞などに注目して情報と情報の関係を把握しながら読み進めることが大切です。また、まとまりのある文章の概要を捉える活動では、説明文などを読んで捉えた内容を相手に分かりやすく話したり書いたりする言語活動を行うなど、相手意識や目的意識を持った活動を意識的に取り入れることが必要です。
最後に、生徒に対するアンケートの結果についてです。
グラフは同一学年の変容を表しております。
設問1「文章や資料などを読むときに、どこが大事なところかを考えながら読んでいる。」、設問5「家で、自分の苦手なところ、必要なところを考えて勉強している。」については、学年とともに「当てはまる」の回答に増加傾向が見られ、学習する内容に対して、苦手なところや必要なところを考えて勉強するようになっていると考えられます。
一方で、設問2「わからないことや知りたいことがあったとき、図書館資料やインターネットなどで調べている。」、設問9「テレビや新聞、インターネットで社会的な出来事に関するニュースを見ている。」について、「当てはまる」は減少傾向となっております。
授業や様々な取組を通して、日常生活や社会的な出来事に対して疑問を持ち、自ら調べたり探究したりしていくような機会を取り入れていくことが重要であると考えております。
引き続き、学習指導要領が示す資質・能力をバランスよく育むため、「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を進めてまいります。
今後も、第2期高槻市教育振興基本計画のめざす子ども像、「人や社会とつながり、学び続け、よりよい自分と社会を創る子ども」たちの育成をめざしていけるよう、教育センターとしまして、教職員研修を充実させ、すべての子どもたちの学力向上につながる授業改善の提案をしてまいりたいと考えております。
説明は以上です。
西田誠教育長
ただいま、提案理由の説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。
浦野真彦委員
社会のテストについて、課題である「鎌倉幕府での出来事三つを年代順に並べる」問題ですが、学習した直後なら答えられると思いますが、そうでなければ、興味がないと答えるのは厳しい気がします。
歴史の大きな流れを「各時代の特色を踏まえて理解する」ということに課題が見られるということですが、その課題を克服するためには、どのように授業改善すればよいと考えられていますか。
教育センター所長(山本由紀子)
社会科における知識を問う問題は、37問中28問と7割を超えておりました。正答するためには、知識の確実な定着が必要になりますが、浦野委員のお話にもありましたとおり、知識を断片的に記憶するのではなく、生きて働く知識として定着させる必要があります。例えば、歴史的分野であれば、様々な出来事と社会背景を関連付けて考えたり、それらの内容を理解しているかどうか、書いたり話したりして思考したり、表現したりするような学習活動を通じて、知識の定着を図ることが大切であると考えます。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
美濃律委員
アンケートについて、質問紙2「わからないことや知りたいことがあったとき、図書館資料やインターネットなどで調べている。」の設問と関連して、インターネットは、気軽に検索できるが、誤った情報も本当の情報のように掲載されていることがあります。生徒の情報活用能力を向上させる取組はどのようにしているのでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
高槻市では、児童生徒1人1台端末をはじめとするICT機器を効果的に活用した授業づくりについて研究を進めてまいりました。
日々の学習活動において、必要に応じてコンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を得たり、情報を整理・比較したり、得られた情報をわかりやすく発信・伝達したり、必要に応じて保存・共有したりといったことができる力といった基本的な操作をはじめ、情報リテラシー、情報モラルに関しても、各校、指導してきております。
国の動向の確認と市内全体の端末活用の推進に向けて行っている情報教育担当者会でも、大阪府の情報活用能力ステップシートというものも活用しながら、各校の進捗状況に応じ、情報活用能力の育成ができるように取組を進めているところです。
例えば、「情報モラルなどに配慮しながら情報を活用する力」ではステップ1「インターネット上に正しくないものがあると理解できる」、ステップ2「インターネット上にある正しくないものを見極めようとする」、ステップ3「社会に広がっている情報・ニュース等が事実に基づいているか判断したり、正しい情報について調べたりすることができる」など発達段階に応じて学習しております。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
岡本華世委員
数学について、ほかの教科に比べて無解答率が高くなっていますが、課題が見られた問題3(5)の無解答率はどれくらいなのでしょうか。また、チャレンジテストを通して、見えてきた数学の課題については、どのように分析されていますでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
課題がみられた問題3(5)は選択式の問題であったため無解答率は0.9%でした。しかし正答率が大阪府平均を最も下回る問題でした。無解答率が高かったのは8(2)(2)の問題で無解答率が61.6%で、複数の集団のデータの分布の傾向を比較して読み取り、判断の理由を数学的な表現を用いて説明する問題でした。
また、課題についてですが個別に問題を見ますと、4問、府平均を下回っておりました。そのうちの3問は「知識・技能」を問う問題であり、各単元における「知識・技能」の確実な定着に課題があり、また関数やデータ活用の分野において無解答率が高い傾向にありました。生徒一人ひとりの学習の過程やつまずきをしっかりと見取り、生徒に身につけさせたい資質・能力を明確にした授業づくりを進めていくことが必要だと考えております。
岡本華世委員
無解答率についてですが、令和5年度と比べて、どれくらい変化があるのかを分かれば教えてください。
教育センター所長(山本由紀子)
令和5年度と令和6年度の各教科の無解答率の変化についてですが、国語8.5%から4.2%に減少、社会2.4%から4.5%と増加、数学9.3%から13.1%と増加、理科A8.3%から6.0%に減少、理科C6.7%から3.5%に減少、英語4.8%から5.8%に増加しておりました。しかし、令和5年度6年度ともにすべてにおいて大阪府を下回っており、また教科による無解答率の増減の傾向は大阪府と同様でございました。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
松村洋子委員
無解答率の定義を教えてください。例えば、記述問題で部分点もなく、0点の場合は無解答の扱いにはならないのでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
何も解答していない場合が、無解答となります。
松村洋子委員
記述問題で部分点がなく0点であっても、何か書いてあれば無解答にはならないということですね。
続けてお伺いしますが、理科のテストでは、A問題とC問題でいずれも大阪府平均は上回っておりますが、市内で比較しますと、府に対してより点数に差が見られます。A問題とC問題では出題にどのような違いがあったのでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
A問題は、エネルギーの領域を中心とした出題となっており、具体的には、物体にはたらく重力の大きさを計算により求めたり、浮力と重力の大きさの関係を選択肢から選んだりする問題でした。C問題については、生命領域と粒子領域から出題されており、具体的には、塩化銅の電離を表した式を完成させる問題、細胞分裂の様子や遺伝の法則に関する問題が出題されておりました。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
浦野真彦委員
質問紙の設問11「普段1日平均どれくらいの時間、学習以外にスマートフォン・タブレットを使っているか」というアンケートで、「4時間以上使っている」が減少しています。このようなアンケートは様々ありますが、減少を見るのは初めてな気がします。これについてどのように分析されているのでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
過去3年間の中学3年生の変容を調べましたところ、1年生から学年が上がるにつれてスマートフォンやタブレットの使用については増加傾向にありました。今年度の3年生では減少が見られましたが、対象学年の令和5年度(2年生時)の4時間以上の割合は、38.5%とこれまで調査した2年生の中で非常に高い傾向となっておりました。また、この傾向は大阪府も同様の結果であることがわかりました。
3年生で減少に転じた要因についての詳細はわかりかねますが、一般的には中学3年生になると勉強に向かう時間が増えると考えられ、設問5のように「家で、自分の苦手なところ、必要なところを考えて勉強している」は学年とともに増加する傾向が見られます。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
先ほど美濃委員の方からもありましたが、特に生徒の情報活用能力の向上につきましては、昨今、SNSについての情報発信など、様々な情報を判定、判断するのが非常に難しい時代になってきたと強く感じます。引き続き、生徒の情報活用能力の向上をお願いいたします。
一つお伺いしますが、チャレンジテストの実施目的の1点目は、「生徒の学力の状況をつかむことで教育の成果と課題を明らかにし、今後の教育にいかします」となっております。今回、5教科の試験と11項目の質問からどのような相関関係が見られましたでしょうか。また、今後どのような手立てが必要となってくるのでしょうか。
教育センター所長(山本由紀子)
質問項目と正答率との相関についてですが、とりわけ、今回の結果からも記述問題に課題があることがわかります。各教科の記述問題の正答率と高い相関が見られた設問項目は、設問5「家で、自分の苦手なところ、必要なところを考えて勉強している」、設問7「学校などで、他の人と協力し合うことができる」、設問8「難しいことがあってもあきらめない」でした。
社会で生き抜く力をどのようにつけていくか、知識や技能の定着はもちろんですが、それらを習得するためにあきらめない力や学習方法を工夫したり、より良い方法を考え出したりする術を身に付けることが重要であると考えております。そのためにも、授業の中で、答えを求めることだけではなく、答えのない問いに向き合い、1人で考えたり、他者と協力したりしながら学ぶ機会を作ることが必要であると考えております。
西田誠教育長
他に何かございませんでしょうか。
それでは、本件は報告案件でございますので、これをもって終了いたします。
以上で、本日の日程がすべて終了いたしましたので、閉会といたします。
(午後3時26分閉会)