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会議の名称 | 令和元年度第5回高槻市水道事業審議会 |
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会議の開催日時 | 令和2年2月26日(水曜日) 午前9時30分から午前11時40分 |
会議の開催場所 | 水道部北側庁舎2階会議室 |
事務局 | 水道部総務企画課 |
傍聴者数 | 0人 |
出席委員 | 10人 |
会議の議題 | 水道事業の経営や計画について |
配付資料 |
(資料1)高槻市水道事業が目指す「持続」について (資料2)全体スケジュール (参考資料1)高槻市アセットマネジメント更新基準 (参考資料2)ダグタイル鉄管の耐震性および長期耐久性 (参考資料3)経営比較分析表(平成30年度分) (宿題事項)取組事項について (宿題事項)「持続」の現状評価(高槻市) (宿題事項)自己水の製造原価について (宿題事項)固定費・変動費の推移 |
審議等の内容
<事務局>
【開催挨拶】
<会長>
【審議会の成立と傍聴者の確認】
<事務局>
本日、傍聴希望者はおりません。
<会長>
では、傍聴者はいないようですので、会議を進めます。
ここで、今後の審議会スケジュールにつきまして、報告があります。従来のスケジュールから変更となる点があるようですので、事務局からご説明をお願いします。
<事務局>
【スケジュール変更について説明】
<会長>
ありがとうございます。続きまして、今回の審議会の内容に入る前に、前回の審議会で宿題となりました事項について確認します。事前に各委員にはメールでお知らせされているとおり、事務局に前回宿題として挙がった事項について資料を作成していただいております。
まず、これまでの取り組みについて、指標等も用いてまとめたものとして、「取り組み事項について」と書かれたA3の表にまとめてあります。次に、職員数の変遷に業務の機械化・外部委託化のタイミングを追記した資料を、「職員数の推移」として作成しています。固定費・変動費については、過去の5年の決算について区分し、色分けした資料を「固定費・変動費の推移」として作成しています。最後に、自己水の製造原価について、これまでの数値と今後の見込みについて記載した資料を「自己水の製造原価について」として作成しています。
これらの宿題資料から今回の審議を始めますと、とても今回の本題を議論する時間が足りませんので、後ほど事務局にお問い合わせ頂きますようお願いいたします。それでは、今日の本題について審議をすすめさせていただきます。
<会長>
それでは、審議事項に入ります。
「2(1)高槻市水道事業が目指す「持続」について」の項目から、審議していただきます。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
<事務局>
【資料1の「(1)高槻市水道事業が目指す「持続」について」2ページから9ページ説明】
<会長>
今、事務局より、国のビジョンや基本計画の位置付けと、前回の審議内容を簡単に振り返っていただきました。
続きまして、「持続」の課題についてご説明いただきます。まず、4.施設・設備の持続です。よろしくお願いします。
<事務局>
【資料1の「(1)高槻市水道事業が目指す「持続」について」10ページから20ページ説明】
<会長>
高槻市の「持続」の課題について、施設・設備の持続というテーマでご説明いただきました。
今ご説明いただいたものは、過去から高槻市が施設や設備にどれだけ投資をし、どのように整備してきたか、という「これまで」に関する部分と、今後増加する更新需要にどう対応していくかという「これから」に関する部分の二つに分類できると思います。
「これから」どれだけの投資が必要かを明確にし、その財源をどのように確保するのか、この部分は次のテーマである「5.水道の供給維持の財源確保」に繋がります。
今までお話のあったことに関連する財源などの数字についても理解を進めたいと思いますので、審議に入る前に、まず全体を把握していただくため、引き続き事務局から「5.水道の供給維持の財源確保」についてご説明をお願いします。
<事務局>
【資料1の「(1)高槻市水道事業が目指す「持続」について」21ページから38ページ説明】
<会長>
高槻市の「持続」の課題について、水道の供給維持の財源確保というテーマでのご説明に続き、最後に高槻市の目指す姿、理想像の素案についてご説明いただきました。
それでは、これから審議に入りたいと思います。何かご意見やご質問はございますか。これまでの審議会と同様に、質問については一度私の方で承って、ご発言を整理したのち、事務局に回答を求めさせていただくこととします。
なお、事務局側は、回答については簡潔に、分かりやすくお願いします。
また、「持続」に関する高槻市の理想像について、加えた方がよい観点などもございましたらご発言をお願いします。
本日が持続について最後の審議会で、議論が白熱して時間が足りない場合に備えて予備回を設定しております。この審議会の中で持続についての考え方を固めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
<委員>
資料13ページのところで管路の総延長が1,000キロとあり、また17ページでは耐用年数について最長100年と示されています。この内容、内訳は分かりませんが、単純に考えますと、毎年10キロの更新で1,000キロ更新するには少なくとも100年かかることになります。毎年10キロの更新という設定で問題無いのでしょうか。
<会長>
法定耐用年数超過の問題に対してどう考えるのか、というご質問ですが、事務局いかがでしょうか。
<事務局>
現時点で既に50年に達している管や、30年、40年など、既に年数を経ている管がありますので、そのような管は例えば残り10年というようなスパンで更新しなければならないものもあります。しかし、現在は100年の寿命が期待できる管を用いて更新しており、その他の管の実質の寿命も加味して割り振った結果、年間10キロとなっている、ということです。更新工事のピークは、大体50年後に迎える見込みです。
<委員>
どの程度の耐用年数が残っている管がそれぞれどれだけあるか、を積算していけば全体が算出できると思うのですが、いかがですか。
<事務局>
その通りです。残りの実質の耐用年数を積み上げていったものに対して、今後100年間で、年間10キロの更新を続けていけば100年後には追い付く、という状況です。
<委員>
大雑把に表現すると、全資産は50年くらい持つということでしょうか。
中身が分からないので、年間10キロでいい、ということが数値的に判断できません。平均償却率が分かればよいのですが、どのようになっているのでしょうか。
当初の設備投資額合計と現在簿価との差額が償却額なので、それが分かれば償却率を算出できると思うのですが。
<事務局>
現在の管路の償却率は52.2%で、全体の償却率は50.8%です。
<委員>
耐用年数の考え方について、40年等の法定耐用年数通りとなると、更新頻度が非常に早くなる、ということがあります。耐用年数を超過すると問題が発生するかというと、地質等の地域性により差異はあるものの、基本的にはもう少し長く使用可能と考えていいということで、高槻市さんは管径・重要度によって一つの基準を設けられたのだと思います。
ただし、これまでの更新してきた年間10キロのペースでは厳しく、ペースアップが必要という状況はありつつも、そこを上げようとするとコストがかかりますので、その部分を今後どうするか、という内容だと思います。
今後収入面は厳しくなっていくということはありますが、現時点では黒字を維持されている、ということに加えて、財務面では預貯金残高を一定水準以上に保有されており、企業債残高は他市に比べかなり少ないということで、経営状況としては非常に健全な状態であると言えます。
現状は良好な状況ですが、将来のことを考えると、収入が減少していく中で厳しくなることが見込まれるので、設備更新費用を賄うために、起債をするのかどうかといった議論が次に出てくると思います。
100年のサイクルの中での更新をどのように実現していくか、手順や更新計画をどのように策定していくかが次の議論だと思っています。今はあくまでも考え方の整理の段階で、各種シミュレーションを作成する中でそういったものは出てくるのではないでしょうか。100年の中で全てがローテーションで更新される、という考えはおそらく成り立たないと思います。
<事務局>
現在100年更新で水道管を入れていますが、新たに更新を進めると次のサイクルで同じように更新の山を作ることになってしまう、ということを一つの問題点と捉えております。
我々としましては、いかに水道管寿命を延ばし、長期にわたり使用可能なものにするかを考える必要があります。安定して水道管更新をしていくための考え方を整理していくために、実際にあとどれだけの期間、水道管が使用できるのか、土質調査や水道管の腐蝕状況の調査を行ってまいりました。このような調査を通して実際に水道管の使用可能年数をまとめたものが資料中19ページのグラフでございます。
直近の10年間では、寿命を迎える水道管が少なく、使用可能な水道管が多い一方で、後半になると寿命を迎える水道管が急激に増加することから、余裕のある間に、後ろに控えている水道管を前倒しで更新し、平準化を図っていきたいと考えています。
<会長>
ありがとうございます。特に重要なのが、資料17ページの色分けされた高槻市の地図がございまして、埋設環境に応じた更新基準が設定されていることを示していますが、この他にも人口や事業所数等、水使用量の多寡要因を含め、より緻密な計画を策定していっていただく必要があるのではないかと思います。
今回の審議会では計画を立て、今後計画期間内に行われる審議会の中で継続議題として、より詳細な内容のものになっていくと思います。
<委員>
高槻市の更新基準年数は、今回新たに設定するということでしょうか。それとも既に運用している内容を説明されているのでしょうか。資料からは、他市は以前から設定しているように見受けられるのですが。
<事務局>
現在は10年前に策定された基本計画に基づいて更新しております。様々な調査研究を重ね、今後は今回お示しした基準を設定し、運用していく、ということです。
<委員>
それでは、これまでは法定耐用年数で更新を行ってこられ、更新の中で知見を蓄積されてきたということで、今回はそれらの知見を用いて新たな基準を設定された、と考えればよいのでしょうか。
<事務局>
このような形で今回の議案に上げることを目標に、これまで取り組んで参りました。
<委員>
現状は資料の表の新しい基準なのか、従来通りの考え方なのか、どちらでしょうか。
<事務局>
現状は従来通りの考え方です。(現状の)更新基準年数につきましては、国の設定例に基づき、法定耐用年を参考に設定しています。
<会長>
今のご質問への回答としては、従来は法定耐用年数を参考に更新基準年数を定めており、今回の審議会において、今後の計画においては高槻市としての基準を、主要な他事業体の設定事例を参考にして、新たに設定しようと考えている、ということでよろしいでしょうか。
<事務局>
その通りです。ここで新たな考え方を設定させていただきたい、ということです。
<委員>
高槻市が新たに設定しようとしている更新基準年数は、考え方としては国の基準に沿った設定として捉えたらよいのでしょうか、それとも10年間蓄積してきた独自の知見データを基にした設定と捉えたらよいのでしょうか。
<事務局>
知見データを基にした設定ということでございます。
<会長>
高槻市として独自のデータがあり、それを基に基準を設けられた、とのことですが、それもありながら、大阪市や神戸市のように、既に独自の基準を設けている他事業体に対してもヒアリング等を行ったうえで高槻市の独自基準を設定されたのかどうか、背景や根拠は教えていただきたいと思います。
<事務局>
鋳鉄管の腐蝕には様々な要因があります。全国的に実施されている研究の中で、最も相関があるとされているのは埋設年数であるということが明らかになっています。高槻市は、20年以上前から調査を継続し、何年でどの程度腐蝕するかデータの蓄積を継続してきました。これらの蓄積したデータを基に、予測を立て、エリア毎の耐用年数を設定した、という流れでございます。
過去の漏水対策の中で腐蝕対策に力を入れて取り組んだ結果、今後20年間の水道管更新需要は比較的少ない状況にあります。この更新需要が少ない期間を有効活用し、耐震化等の強靭に向けた対策を徹底的に前倒で実行したいと考えておりまして、この方針で基本計画をまとめていきたいと考えています。
<会長>
資料17ページの地形図には重要な意味がありまして、高槻市一律の更新基準を設定するのではなく、これまで調査されたデータ等の根拠に基づいて、エリア毎の更新基準の案をこの審議会において、この方向性で将来を計画していきたいという考え方をお示しになっている、ということです。
法定耐用年数を基準とするのではなく、他市の状況についても参考にしながら、高槻市独自の判断を下したい、という状況です。
<委員>
資料中の他市設定事例を見ると、例えば神戸市は60から80年となっていますが、このような表現にすると高槻市はどのようになるのでしょうか。
<事務局>
高槻市では、水道管1本1本に耐用年数を設定するのではなく、エリア別に耐用年数を設定しています。
<委員>
細かい説明だとそのような内容になると思いますが、先程委員がおっしゃったのは、資料の他市事例のような表現を用いると、高槻市はどうなるのでしょうか、ということだと思います。細かい説明を切り捨てることへの懸念はあるかもしれませんが、先程は大雑把な回答を求められたと思います。横並びにしないと比較対象になりませんので。
<事務局>
50年から100年になります。考え方としては先程申し上げたとおりです。
<委員>
今回の内容は簡単にまとめると、「モノ」の持続、「カネ」の持続、についてお話しいただいた、ということになると思います。私は前回欠席させていただきましたので、「モノ」の持続の前半で聞いてない部分がありますが、今回の内容についてお話しされていることは非常に、もっともなことだと感じました。
まず、「モノ」の持続の部分に関しては、地域の実情に合った基準を作りたい、ということ、「カネ」の持続に関しては、他事業体との比較で水道料金が安すぎるので値上げしたい、ということだと思いますが、両方とも良く分かります。
特に「モノ」に関して、これまでは法定基準、国が定めた基準の中で、いわゆるナショナルミニマムでやってきましたが、そこから、いわゆるローカルオプティマム、これは地域で定める最適水準という形に行政サービスが変わってきている流れなのですが、今回の内容もそのような変化に沿ったものであると受け止めました。
私は行政学者ですので、そのような考えは非常に良く分かりますし、そのようにしていかなければならないと思います。
お金の話について、他事業体との比較の中でご説明いただいたので、非常に良く分かりました。安くなり過ぎている部分があるので、そこを上げていきたいということだと思います。
何かを説明する際の手法として、一般的な説明と、地域の実情に合わせての説明と2種類あると思います。そのような意味で、「カネ」の部分については、他との比較でご説明いただいたので良く分かった一方で、「モノ」については他との比較がやや手薄な印象を受けました。当然地域の実情なので、「高槻市が・・・」でよいのですが、それと同時に、他事業体との比較の中で高槻市の基準がどのあたりに当てはまるのか、全国的な分布の中での位置付け等について、もしデータをお持ちであれば教えていただければと思います。「カネ」では他市との比較が示されていますが、「モノ」についての整理では他市との比較がなく、高槻市のデータだけで高低を論じられても納得できない部分があります。そのあたりいかがでしょうか。
<事務局>
参考資料3経営比較分析表をご覧ください。
管路経年化率という指標がございまして、平成30年度の同規模の他事業体平均が約17.8%となっており、高槻市はこれまでの継続的な管路更新の取組もありまして、約14.6%の水準を維持しています。高槻市水道部としては、今後はこの数字は少しずつ上昇していく、ということを見越しております。
また、管路更新率という指標について、平成30年度の類似他事業体平均は0.7%更新、高槻市は0.8%更新と、同程度の水準にて更新を進めているということになります。他事業体との比較では、このような指標を用いることになります。
<委員>
少しわかりづらいように思うのですが、例えば全国的な自治体のデータは無いのでしょうか。その中で高槻市がどの位置に当たるのか確認できればと思うのですが。
<事務局>
現在全国的に取り組んでいるところです。参考資料2の裏面に、独自の耐用年数を設定している事業体を一覧にしたものが示されています。
<会長>
先程ご説明いただきました、経営比較分析表は、厚労省が取りまとめている水道統計から全国的な類似団体のデータをまとめたものです。
<委員>
水道統計というものがあるのですね。
<会長>
高槻市と同等の人口、財政規模で比較できる指標の中ではこのような状態である、ということはご確認いただけるかと思います。
<事務局>
更新基準年数の設定が、全国的に見てどうか、という議論かと思いますが、更新基準年数については各事業体が悩んでいるところで、政令市等は10年ほど前から取り組まれていて、資料の中でも、大規模水道事業体は独自の基準を設定することができている、ということをお示ししています。
一方、中小規模の事業体はそのような設定ができず、国が定める「1.5倍」を基準としたアセットマネジメントを組んでいる、というのが標準だと思います。
<委員>
先進的な自治体は独自の基準を設けられていて、高槻市もそちら側に入っていこうとしている、ということでよろしいでしょうか。
<事務局>
ご理解のとおりです。
<委員>
独自の基準を定めている自治体がどれ程あるのか、といったデータは無いのでしょうか。地域の実情を基に基準を設定する、ということを、地域住民の方に納得していただけるよう説明することはとても難しいことだと考えています。丁寧に説明する必要がありますし、地域の実情というのは非常に分かりづらいということがあります。そこで、全国的な比較を用いること等により、その施策が適切であることを説明していった方が、住民や議員の方は納得されるのではないかと思います。
私は、高槻市水道部は様々なことを考えておられ、上手く事業運営されていると思っています。
基本的な大きな方針として、ローカルオプティマムで地域の実情に合った基準を設けるということは大賛成で、進めていかなければならないことだと考えています。
また、お金の部分について、安すぎる部分を是正する必要があるのは時代の流れとして当然のことだと考えています。説明の仕方を工夫していただければと思います。
<会長>
委員がおっしゃったように、水道のことを知らない方に向けて、高槻市や他市の状況、背景説明は重要であると思います。
<委員>
相手に知識があり、分かっている前提で話をしようとすると、なかなか理解を得られないのではないでしょうか。今後、今回の内容が表に出ていく際には、住民の方や議会等で理解を得ていく必要があると思います。
他の行政分野においても、例えば消防の分野等でも、自治体が国の基準とは別に独自の基準を設定しているケースもありますので、例えば自治体独自の設定をしているのは水道だけではない、というように、様々な比較、他行政分野や他自治体との比較を説明に加えると、住民の方等からすれば納得しやすい説明になるのではないか、と思います。
<会長>
貴重なご意見ありがとうございます。
<委員>
実績、知見に基づき独自基準を設定される、ということは良く分かりましたが、100年といった、誰も経験したことの無いような長期間を設定される根拠となる説明資料はご準備いただきたいと思います。
<会長>
よろしいでしょうか。それでは審議を続けていきたいと思います。
<委員>
資料19ページにあります、基本的な考え方として余力のある間に基幹管路と耐震管路の耐震化を進め、年間10キロの管路更新とありますが、これは皆さんご了解ということでよろしいでしょうか。
<会長>
今後、財政的なことも踏まえ、計画的な管路更新を行っていくために必要な年間更新延長を10キロとする考え方について、ご意見等いかがでしょうか。
<委員>
事務局から年間更新延長10キロと示されているのは、今お話しされている耐用年数だけを見られているのではなく、収入と支出をシミュレーションする中での、持続可能性の観点も含まれていると思います。
ここでは、10キロを目指す、という表現で、目安として示されているものであり、何らかを担保するものではないと思います。
管口径によって更新コストは異なりますので、今後の実施計画等により、収入面と整合性を取った整備計画を作成する必要があると思いますが、その中で今示されているものが本当に正しいかどうか、判断することになると思います。
現状では、耐用年数を勘案すると、この程度の体力は確保できるだろう、ということでおっしゃっておられるのだと思います。
<委員>
平均償却率は約50%で、耐用年数は最長100年とのことですが、概算でおよそ50年分償却されていることになります。年間10キロ更新であれば1,000キロ更新には100年かかると思いますが、このペースで間に合うのでしょうか。倍の20キロ程度は必要と思います。
<委員>
資料19ページのグラフは、既存の水道管に高槻市が独自設定する耐用年数を当てはめた場合の更新時期及び更新延長を表しているのではないでしょうか。
ここに示されている40年間以降のところで、より高いピークが出てくると思いますが、これから10年間どのように取り組むかということとは別の問題である、と解釈しています。認識に相違はありませんか。
<事務局>
資料19ページについて、ご理解のとおりです。
<会長>
先程の委員の質問にありましたように、設定した数字の意味を分かりやすく示さないと、この場合では10キロとする、と受け止める方も出てきてしまうかと思います。
<委員>
現状企業債は少ないのに、これから増加させるような内容の資料になっていますが、どういうことでしょうか。
<委員>
高槻市は企業債残高が非常に低く、財政面は健全な状態であるといえます。今後の設備投資の中で、浄水場整備等の大規模な資金需要が発生した場合には、通常の収入で賄いきれない部分が出てくる可能性がありますので、その部分は企業債を活用することで、将来的に負担を求める、ということだと思います。
<委員>
次の計画では企業債は活用しない、ということでしょうか。
<委員>
今後の更新計画の中で資金面をどのように手当てするのか、は次の議論になる内容だと思います。ここでは基本的な考え方を述べられている段階です。
<委員>
管路の更新の話をされていましたので、管路更新には基本的には企業債は用いない、ということの確認だと思います。
<委員>
基本的にはそうだと思います。ただし、大規模な場合は企業債が用いられる可能性もあると思います。
<会長>
この場では、具体的な数値、シミュレーションや水道料金値上げについては踏み込まず、計画期間に入った後に、別の場で詳細を議論する必要があると考えています。今回は考え方の整理をしているという状況です。
<会長>
それでは資料22ページに移りたいと思います。ここからは、高槻市水道部の収支状況や財務状況を確認していきます。まず、収支状況については黒字決算を継続しており、その結果現預金は増加、借入金は減少しているということで、高槻市の経営努力が高く評価される部分だと思います。
続きまして24ページからは支出面の将来の見通し期間として40年間での水道施設の更新費用を、アセットマネジメントを用いて算定しております。平均すると年間21億円となり、現状よりもペースアップが必要であることが示されています。
26ページでは、一方の収益について給水収益予測が示されておりますが、人口減少、一人当たり水量減少で給水収益は減少していく見込みである、ということです。
27ページは収支の推移ということで、令和11年に赤字転落する見込みであることを示しています。また、28ページでは、資金残高推移についてのグラフを示しています。29ページでは高槻市の水道料金収入の特徴について、特に全使用水量の88%が生活用メーターである、ということを示しています。
以上、お話した内容の中でご意見等ありますでしょうか。
<委員>
少し戻るのですが、資料25ページのアセットマネジメントのところで、国が策定を求めているアセットマネジメント計画は既に策定されているのか、もしくはこれからなのか、今回の審議会との関係について教えていただきたい、というのが一点目です。
次に、資料25ページのグラフが市民に誤解を与えてしまうのではないか、と思います。計画期間における内訳の凸凹は生じると思いますので、こちらにあるように一律にされているのはイメージとして伝える、ということなのでしょうか。
また、19ページに、更新の「最適化」とありますが、市民の方と話をする際には「最適化」という言葉は通じにくく、何をもって「最適」とするのか説明を求められますので、もう少し補足する必要があるかと思います。25ページには直近に比べペースアップが必要とありますので、より一層先程の「最適化」の意味が分かりづらいのではないでしょうか。
<事務局>
まず、25ページのグラフについてご説明いたします。
先程のご指摘のとおり、こちらはあくまでも概念図でございます。
アセットマネジメントは中長期的な更新需要を算出することが目的となっており、設定した更新基準をベースにしたものを積み上げたグラフを24ページにお示ししております。
こちらはそのまま積み上げたグラフですので凸凹が生じておりますが、このままでは40年間で必要となる費用の総額が分かりづらい部分があると考え、25ページのグラフを用いて、40年間で859億円ということで、中長期的な投資必要額をお示ししております。
ただし、ご指摘のとおり実際に事業を行う中では年度毎の凸凹は生じますので、40年間全体で859億円という大枠を方針として定めることができれば、これに基づいて、例えば10年間の整備計画を、基本計画に基づき作成することになりますので、市民の方に10年間の計画をお示しする段階では、実際の資金需要に応じた、凸凹のあるグラフを作成し、お示しすることになると考えています。
今回の資料は、あくまでも基本計画という括りの中で、必要な資金は概算でいくらになるかを説明するものという位置付けで作成しております。
<会長>
委員のご指摘のように、誤解を招く可能性がありますので、示し方は工夫する必要があると思います。
<委員>
先程のご指摘に関しては、無理に平準化したグラフで示す必要は無いのではないかと思います。
<会長>
続きまして、「最適化」の意味をどのように考えるか、について事務局から回答をお願いします。
<事務局>
19ページの棒グラフの中には、重要管路等が含まれています。計画期間の当初10年間には、年間10キロに満たない空白の部分がありますが、この部分に、「どの棒グラフをどれだけ」持ってくるのかが、まさに「最適化」だと考えております。この問題をこれから解決するために、基本計画の中で今申しました考え方を盛り込んでいきたいと考えております。
<会長>
今おっしゃったのは、更新事業と耐震化事業の両方を含めて一番いい答えを出しながら事業を進めていく、ということだと思います。「最適化」という言葉についてはもう少し検討していただければと思います。
<会長>
資料29ページから32ページで口径別の料金体系や高槻市と北摂他市との料金比較で、高槻市は他市に比べ水道料金が非常に安価であること等が示されております。今回は具体的に水道料金体系を改定しようということではありませんが、現状の高槻市の水道料金体系の問題点としてこのようなものがある、ということを示しています。資料にもありますように、料金体系についての具体的な審議は次期計画の中で改めて行うとしておりますので、今回は現状、課題を踏まえ何かご意見をいただければと思いますがいかがでしょうか。
<委員>
他の水道事業体でも料金体系の課題について議論となった際に、今後の投資需要増大に伴い、原価割れしている現状をどのように改善していくのか、という点が出てきます。また、大口の利用者であった事業者が水道の利用を止めてしまう例も多々あるようですので、そうなると一層収益環境は厳しくなってしまいます。
このことから、高槻市の基本的な考え方として、逓増性・従量制をどのようにするのかが、今後の基本計画の課題としてあるということになると思います。
次の段階では、具体的に何年先に赤字となり、現状での事業継続は困難となった場合にどうするのか、という議論になっていくと思いますが、これから策定される計画の中で一定触れておく必要はあると考えていますので、その辺りを上手く計画に落とし込んでいただければと思います。
<委員>
商売、事業を行うにあたって、原価割れの状態のまま継続することはありえないことだと思っています。一部の利用者において原価割れしていることを適切に表現し、現状を市民に理解してもらうことが必要だと思います。
また、他市と同様に高槻市においても、何年か前から大口利用者が水道利用を停止し、自前の地下水を活用する事例が発生していると思います。その場合、水道を使っていないから料金は不要と考えるのではなく、利用しなくなったものの、敷設整備した水道管を利用していた時の受益者負担を求めるという考え方があっても良いのではないかと思います。
<会長>
ありがとうございます。各委員がおっしゃったように、考え方を計画の中に出しておくことが必要で、そうしなければ次の議論ができないと思いますので、計画の中に入れておく必要があると思います。
<委員>
資料の32ページについて、水量の83%が原価割れしているとのことですが、なぜこの状況で黒字になるのでしょうか。
<委員>
これは先程から出ていますように、料金体系が逓増性を採用していることが要因だと思います。
<委員>
それでは、使用水量の多い一部の利用者の負担が非常に大きく、使用水量の少ない多数の利用者の負担分を被る形になり、不公平になるのではないでしょうか。
<会長>
水道料金の問題は、水道部だけでなく、高槻市全体、福祉部局や産業部局を含めて考えていく必要がありつつも、事業を継続していく責任は水道部にあると思いますので、水道部からも意見を発していく必要はあると考えています。
原価割れが83%を超えている現状が続いて、事業継続が可能なのか、ご指摘いただいたところは重要なポイントだと思います。
<委員>
口径別の水道料金収入の割合を教えていただけますか。
<事務局>
水道事業年報94ページから95ページに水量・口径毎の水道料金の調定金額が記載されております。20ミリメートルの行をご覧いただきますと、水量に比して水道料金が若干低い数字になっておりますので、先程のご議論にありました通り、逓増性の影響が出ているということをご確認いただけます。
<会長>
ありがとうございます。32ページの部分は重要な問題で、計画の中では触れなければならないテーマかと思います。
34ページからは水道料金と企業債についての内容です。従来は水道料金で資金を賄うという考え方を基本としていたが、今後は資本的支出の施設整備については企業債の活用も含めて検討していく、と高槻市の考え方が示されていますが何かご意見はございますか。
<委員>
先程の料金体系についてですが、他の自治体でも同様に逓増性が取られていて、水使用量の多い中小企業の負担が大きいことをきっかけに、事業者がその地域から抜けていく原因になり得るという問題があります。
したがいまして、今後料金体系を見直していく際に、各家庭に対しての説明では、原価割れを是正する必要性を伝えることが重要です。その一方で、大口の利用者に対しては、これまで多くの負担を強いてきたということがありますので、料金改定の議論をするにあたっては、小口向けの話と大口の企業側とに分け、大口側は経済産業部局等と共に話をするようにしないといけない。片方に向けた説明資料は、他方にとっては別の意味を持つことになると思いますので、その点に関して注意が必要だと思います。
<会長>
ありがとうございます。非常に重要な点をご指摘いただきまして、今おっしゃっていただいた内容については今後計画を策定し、実行していく中で必要に応じ取り入れていただければと思います。他に何かご意見はございますか。
<委員>
資料の33ページに水道事業への理解度に関する記載がありますが、市民の方に水道事業を知ってもらう、ということを長期的に考えた場合には、小学生くらいの年代を対象に、出前講座などにより高槻市の水道、高槻市の水をPRすることが必要だと思います。そして、それを彼らが大人になるまで継続することで、水道事業体や水道料金の特徴や、水道が置かれている現状を理解してもらえるようになるのではないでしょうか。今すぐ効果があるものではないかもしれませんが、10年、20年先を見据えた働きかけを行っていく必要があると思います。
<会長>
確かに小学校で行われる水道に関する授業や配布されている副読本等では、水道施設に関する内容はいくつかありますが、水道料金に関する内容はほとんどありませんので、料金の問題にも関心を持ってもらう、ということは重要ではないかと思います。
<事務局>
高槻市では、小学4年生を対象に社会見学という形で、大冠浄水場のウォータープラザという見学施設に来てもらい、水道についてPRを行っておりますので、その中に取り入れることを検討します。
<委員>
ぜひ進めてください。
<委員>
企業債の活用について、資料に示されているように、施設設備等により変動する資金需要に応じて企業債を活用する、という考え方が基本になるかと思いますが、企業債は借金なので、どのように活用するのか、返済計画をどのように設定し、水道料金にどのように反映させるのか、という点についての議論が必要だと思います。
単に、大型投資には企業債を活用します、と言うだけでなく、企業債を活用して膨らんだ借金をどのように返済していくのか、その計画性を示していくのは大事なことだと思います。
先程、委員がおっしゃったように、水道料金を考える際には、大口利用者の水道料金についての議論も必要だと考えています。様々な企業様から、「水道料金が高いので、自己水を使用させていただくことを検討している」といった相談を受けることもありますので、その辺りは市全体の施策としてどう展開していくのか、検討していく必要があると思います。
<会長>
ありがとうございました。単に企業債を活用する、と言うのではなく、活用の意味や影響を考える必要があるという重要なご指摘だったと思います。
時間が近づいてまいりましたが、何かご意見おありの方がいらっしゃいましたらお願いします。
<委員>
企業債の活用につきまして、現金の流れ、いわゆるキャッシュフローを平準化させるという意味では企業債を用いる意味があると思いますが、将来への負担先送りの観点では、今後高槻市の人口や水道料金収入が増加する見込みは到底なく、減少する一方になると思いますので、極力負担の先送りはすべきでないと思います。将来に比べ相対的に現役世代の多い今後の10年間においては、極力企業債に頼らずに借金を減らしていかなければ、継続できなくなるのではないかと思います。水道事業の資金が不足した場合、水道料金値上げを嫌って住民が市外に転出する、ということは考えにくいですが、水道関連のトラブルが起こるようになれば、それは住民が転出してしまう要因になり得ると思います。このような観点からも、比較的資金に余裕のある今のうちに、借金を減らしつつ、施設等で修繕の必要なところがあるのであれば、手を打っておく必要があると思います。
<会長>
ありがとうございます。ほかにご意見はございますか。
<委員>
37ページのところで、人材の育成とあります。
水道事業は企業の業種区分では製造業になると思いますが、その場合、人材育成や技術伝承が、水道事業を今後とも安定して運営していくために非常に重要になるのではないかと思います。また、委員がおっしゃいましたように、借金による将来へのツケを極力減らすための施策を、これから考えていけたらよいのではないでしょうか。
最後に、ホテル等の企業誘致、産業の活性化を必死にされていると思いますが、現状の水道料金は、大口利用者に課される料金が非常に高価に設定されていて、その収入により一般家庭等の小口利用者の料金負担が軽減されている面があります。産業振興の観点から、大口利用者を呼び込むことが必要だと思いますが、そのために大口、小口それぞれの料金水準をどのように設定するか、市としての方向性を考えていただく必要があると思います。
<会長>
ありがとうございます。持続というのは次の世代のことを考えるということですので、いま委員がおっしゃったことも踏まえて、計画を策定していただければと思います。
<委員>
資料29ページに水道料金体系が示されていますが、非常に傾斜が高い逓増制になっています。経済原則では、モノは「たくさん買えば買うほど安くなる」のが常識だと思いますが、水道料金はこの基本原則に反している、ということになります。
電気料金も第一次石油危機の際、料金を値上げしていく時には、使用量の少ない方には相対的に値上げの幅を少なくする、逓増制を取り入れましたが、その後の料金改定の都度、逓増性を緩和してきています。
今般出てきている「新電力」には、基本料金無し、一定の単価というシンプルな料金体系のものがあります。このように、市場原理に近い体系のものが出てきているという情勢を勘案していただき、現状の、逓増性を有する複雑な料金体系を見直して、簡単で分かりやすく、かつ黒字を維持できるような料金体系に変えていかないと水道の持続は困難ではないかと思います。
<会長>
ありがとうございます。
<委員>
資料37ページの、地域社会貢献への取組に関わる部分として、今般各種マスメディアにおいて、孤独死や貧困死が取り上げられ、例えば水道を止められるといったような社会問題を目にすることがあります。水道はセーフティーネットの中でも非常に重要だと思いますが、市長部局等との連携した取り組みなどはされていらっしゃるのでしょうか。
<事務局>
福祉部局との連携についてご回答申し上げます。
1年ほど前に厚労省から、生活困窮者との自立支援制度に関連する技術的助言が発出されました。この中で特に水道に関わる内容としまして、検針等での巡回の中で明らかに生活困窮者と思われる方がいらっしゃった場合に、福祉部局との連携体制を構築し、自立支援制度を案内する取組を強化するよう求められている、ということがあります。自立支援制度自体は以前からありましたが、生活困窮者に伝えていくために多部局間で連携した動きを強化していこう、ということで1年前に厚労省から出されました。
実際に高槻市水道部では、お客様サービス窓口や料金課窓口にパンフレットを常時配架し、当てはまるお客様がいらっしゃった場合には支援制度をご案内する、という体制を整えています。
<会長>
ありがとうございます。「命の水」と言われるように、先程の内容は非常に重要だと思います。
<会長>
それでは、次の審議事項に移ります。
2(2)その他ということですが、事務局から何か報告事項等はありますか。
<事務局>
【次回審議会の日程についての報告】
<会長>
【閉会宣言】