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水道事業は、税金ではなく、市民のみなさまからいただいた水道料金で事業を行う「独立採算制」で経営を行っており、会計も一般的な行政経費を扱う「一般会計」から独立して「水道事業会計」として計算を行っています。水道事業会計は、地方公営企業法に基づき「収益的収支」と「資本的収支」に分けて計算することになっています。
「収益的収支」とは、日々の事業を運営するための取引のことで、収入には水道料金などが、支出には人件費や動力費(水を送るためのポンプや水道施設を運転するのに必要な電気代や燃料代)などの維持管理費、受水費(大阪広域水道企業団から水道水を購入する費用)などがあります。この中には、会計に計上されているが実際にはお金の動きが発生していない減価償却費や長期前受金戻入なども含まれています。
「資本的収支」とは、水道施設の整備や更新など長く使うものの取引のことで、収入には企業債や補助金などが、支出には工事請負費や企業債償還金などがあります。
収益的収支で得た利益を資金として水道施設の整備を行っていく、というのが、水道事業経営の基本的な仕組みです。
水道事業会計を家計に置き換えてみると、両者は全く別物なので大まかなイメージとなりますが、例えば上の図のように考えることができます。
車や家を購入するために家計をやりくりしてお金を貯めるように、水道事業会計においても、将来必要となる水道施設の整備・更新に備えながら利益を積み立てていくという経営を行っています。
総給水量は、3,624万785立方メートルで、令和4年度に比べ、18万3,100立方メートル(0.5%)増加し、自己水(地下水)として1,209万3,243立方メートルを確保しております。また、総有収水量*については、3,397万5,545立方メートルで、31万5,928立方メートル(0.9%)減少しました。有収率は93.7%で、1.4ポイント減少しました。
*有収水量:給水量のうち、水道料金の徴収の対象となる水量
【自己水(地下水)とは?】
教えて!すいぞうくん「高槻市の水道水はどこから来るの?」― 高槻市の水源について
収入総額は59億8,020万3,758円(1億1,318万1,165円、1.9%減少)、支出総額は51億9,657万9,006円(9,930万2,405円、1.9%減少)、差引き7億 8,362万4,752円(1,387万8,760円、1.7%減少)の当年度純利益となりました。
収入総額は6億1,743万3,042円(5億7,209万5,488円、1,261.9%増加)、支出総額は32億8,115万2,829円(11億5,710万5,157円、54.5%増加)で、当年度収支は26億6,371万9,787円(5億8,500万9,669円、28.1%減少)の資金不足を生じましたが、損益勘定留保資金などの内部留保資金で補てんしました。
収益的収支において純利益が出ており、いわゆる黒字決算となっていますが、一方で、資本的収支では多額の不足額が生じています。
上の図のように、収益的収支が黒字であったとしても資本的収支の大幅な赤字を埋めるために資金を取り崩しながら運営している状況です。
令和5年度(2023年度)水道事業会計決算書・附属書類 (PDF:1.83MB)
【会計のしくみをちょっとわかりやすく解説!】
実際にお金は動かない!? ― 会計上だけに存在する“減価償却費・長期前受金戻入”とは
決算は黒字決算となりましたが、収益的収支による純利益は前年度より1.7%減少し、3年連続で減少となりました。今後も、人口減少等に伴う水需要の減少傾向が続くことに加え、電力価格や物価の高騰などの影響により、更に厳しい経営環境になることが見込まれます。
このような状況において、学識経験者や事業関係者及び公募市民等で構成される「高槻市水道事業審議会」からの答申*を踏まえ、将来にわたり安定した経営を行うための方策について検討を進めるとともに、基幹管路・重要給水施設管路の耐震化など水道施設の強靭化(きょうじんか)を着実に推進し、安定給水を堅持できるよう取り組んでいきます。
*答申について詳しくは、
こちらのページ(水道事業審議会から“答申”を受け取りました)をご覧ください。